茜

秘密の花園の茜のレビュー・感想・評価

秘密の花園(1993年製作の映画)
5.0
昔NHKで放送していた同作品のアニメを祖母が録画していて、小さい頃は祖父母宅に遊びに行くとそれを観ていました。
そんな思い出もあり心の奥にずっと残っている作品で、この思い出がなければこの映画に触れる事もなかったのではと思うと、この作品に触れる機会をくれた祖母に感謝しています。

この映画で一番好きなところは、ずっと荒れ果てていた花園がメアリーとディコンによって少しずつ再生していくところ。
少し古い映画なので映像も少し荒いのですが、そのクラシックな質感で観る自然いっぱいの花園の風景が逆にとても美しい。
花が咲いて再生した花園には、植物だけではなくて動物たちも沢山集まってきて、そんな動植物と触れ合いながら楽しそうに遊ぶ子供達の姿を観ていると、大人になった自分は羨ましさや憧れを感じてしまう。

主人公のメアリーも従兄弟のコリンもそれぞれ寂しさを背負って大人に心を閉ざし気味な子供で、動物と仲良しのディコンも今まで人間の友達はいなかった。
そんな子供たちは皆、植物や生き物に対してとても優しくて、まるで人間同士のように親しく接する。
大人たちが見向きもしない荒れ果てた花園に対して「まだ生きている」と言い、楽しみながら種を撒き手入れをする。
自然と触れ合う子供たちの姿ってこんなにも美しいんだなと感じる。
そして何よりも、花園の再生と共に自分自身も成長して再生し、周りの大人達すら笑顔に変えてしまう子供たちはとても逞しい。

心がよどんでしまった時に子供に返るために観たくなる映画であり、土に触れる機会が減ってしまった現代の子供達にも観て欲しい、家族や友人や自然との心の触れ合いがたっぷり詰まった映画です。
茜