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ラブリーボーンのkomoのレビュー・感想・評価

ラブリーボーン(2009年製作の映画)
4.0
雪の降るある日、14歳のスージー(シアーシャ・ローナン)はある男に殺害される。
初めてのデートがもうすぐだった。買ってもらったばかりのカメラで撮りたかったものが沢山ある。家族にもお別れを言ってない。心残りから、スージーの魂は現世に残り、哀しむ家族や自分を殺した犯人の姿を見つめ続ける。


先日レビューを書いた『リメンバー・ミー』に続き、こちらも死後の世界の話。しかしリメンバー・ミーのような救済はありません。
亡くなったスージーの語りや、死後の世界の光景はとても美しいのですが、”1人の少女が理不尽に殺された”という事実は揺るぎないのです。
ラストが思いがけない形で終わるので、起承転結を求める人には向かないかもしれません。

この世に残っているスージーの魂が、犯人を探している家族に何かしらの形でヒントを与えて犯人逮捕に結びつくのかと思っていたら、そんなに甘くなかった。
スージーは現世の人たちを見ることは出来ても、干渉はできない(例外はあり)。
愛する家族を目の前にして届かぬ叫びを発するシアーシャ・ローナンの白熱の演技。
この頃のシアーシャは14、15歳くらいで、劇中は年相応のあどけない表情が多いですが、この作品のプレミアでビシッとドレスを着こなしている姿はかなり妖艶でした…。すごい。
娘を失った辛さに耐えきれず家を飛び出してしまう母親役を演じたレイチェル・ワイズの静謐とした悲しみの表現もすばらしい。

見ていていちばん辛かったのは、父親が自暴自棄になって自分の制作したボトルシップを全て破壊してしまったシーンでした。
それに呼応するように、スージーが辿り着きかけている黄泉の世界には大きなボトルシップが漂っていました。圧倒的映像美。
幼い頃のスノードームにまつわる会話が屈託なさすぎてつらい……。

役者の演技やスピルバーグ指揮の映像だけでも観る価値の高い作品ですが、具体的にどんな方にオススメすべきなのかはわからない映画です。
家族を大切に思っている人にすすめるのは気後れする内容だし、家族への情が薄めの人には面白くない映画のような気もしてしまうし。
ただ、シアーシャ・ローナンの魅力を知るには最高すぎる1本でした。シアーシャの笑顔はひとすじの光。