オシリー

キング・オブ・コメディのオシリーのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.0
やるせないなあと思った。作中でのコミュニケーションはいつも一方通行で繋がることがない。結局、繋がれない状態をいつまでも繋がらないままにしておくと、最後には暴力という繋がりしか残されていないのか。想像を無理やり現実に繋げようとする暴力的な行動力。コミュニケーションの手段を持たないひとが最後にすがるのがこの訴え方なのかもしれない。主人公が目指すキング・オブ・コメディは、ただの容れ物でしかない。中身は誰だっていい。個人なんて誰も求めていない。ジョークの内容だってそう。ジョークというパッケージがあれば、中身なんて気にすることではない。憐れな道化のメッセージはお笑い種として消費されて誰にも届かない。同じ道化以外には。それでも一夜限りの主役を目指して暴力的な行動に至るところに滑稽さと同情と物悲しさを禁じ得なかった。
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