執拗なまでに丁寧な恐怖。といった感じ。圧倒的な描写力の前に自分がいるはずの現実が支配されるような。と言うと少し大袈裟かもしれないが、冒頭からあれだけ大胆に入れ子の構造を明かしておきながらも徐々に虚構の>>続きを読む
舞台は震災直後の福島。少年は小さな釣り堀小屋の荒れ果てた家庭で暮らしている。小屋の周りには震災ですべてを失い、身を寄せ合って生きる浮浪者たち。少年は浮浪者たちに囲まれながら、ふつうの幸せを夢見て過ごし>>続きを読む
その日900教室のなかにあった熱、対立、言葉、熱、ユーモア、視点、誠実さ、歴史、空間、熱、熱、熱。三島由紀夫というその時代最高の知性に向かって堂々と持論をぶつける全共闘と、揚げ足取りや論破などしようと>>続きを読む
神に見放された性的倒錯者の愛の物語。倒錯し、迷い、遠回りをし、嘘もつく。本当の愛はどこにあるのか?もしかしたら、倒錯や、迷いや、遠回りや、嘘のなかにそれはあるのかもしれない。男とか、女とかは関係ない。>>続きを読む
どこにでもある高校を舞台にした主役不在の群像劇。登場人物の全員にそれぞれの立場と視点があり、しかし全員が脇役である。陳腐なお約束展開やご都合主義な物語は裏切られて、誰もがことごとく主役になることがない>>続きを読む
おれたちはかつて子どもで、狭くて息苦しい水槽に閉じ込められていることが嫌で嫌で仕方がなかった。いつしかその狭さにも慣れて、なにも感じなくなる。そこから抜け出そうともがく者を、批難の目でみることしか出来>>続きを読む
やるせないなあと思った。作中でのコミュニケーションはいつも一方通行で繋がることがない。結局、繋がれない状態をいつまでも繋がらないままにしておくと、最後には暴力という繋がりしか残されていないのか。想像を>>続きを読む
ここで描かれているのはある師弟関係の純粋なセッション。目的は至ってシンプルだ。フレッチャーは教授として、執拗に罵倒や叱責を繰り返し、常軌を逸した指導を学生に行う。ニーマンは殊更に厳しい目を向けられ次第>>続きを読む
おれたちはまずなにもかもぶっ壊さないといけない。見栄や見掛け倒し、表面だけの関係、数字、社会的価値、名前、神、そして自分がつくりだしたものでさえ。元々、そんなものには価値なんてない。気づかぬうちに纏っ>>続きを読む
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社会的に言語を持たない、底辺に属するひとは高い地位を持つひとに対していったいどのようにコミュニケーションを図るのか。それは家庭教師、運転手、家政婦などの役柄を演じることであり、そこに個人はありません。>>続きを読む
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ひととひとの、繋がり方の話だと思いました。外側の、社会的な繋がりばかりが重視されている現況のなか、同じ傷、技や感覚、金、或いは盗みという一方的な関係の結び方によって繋がる在り方を示しています。社会的な>>続きを読む
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冒頭みていると、「カット入らないな…」ということに気付きます。カットのない映像が30分ほど続き、ところどころに違和感がありつつも、これはすごいことをしているなという感想を抱きます。その後の展開で、この>>続きを読む
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『パプリカ』
夢と現実、その境界を意識すること。世界にはあらゆる境界が存在し、そのどちらか片方に傾倒することの危険性を説いている映画だと思いました。夢に溺れた者は現実を見失い、現実を過信した者は自分を>>続きを読む
前作『キル・ビル vol.1』では、あえて現実感を排して観念や理想のなかのカッコよさの映像化を試み、そしてそれに成功していたように思いますが、今作では前作にみられたカッコよさへの純粋な追求、理想への熱>>続きを読む
『アウトレイジ』
星4.5
一貫して美しさのための映画だと思いました。この映画でやっていることは徹底した暴力という行為の純粋化です。無駄を省かれ、「殺す」、「痛めつける」といったただひとつの目的で以っ>>続きを読む
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シックスセンス
星4.5
もし現代の映像技術で誰かがシックスセンスの正解へたどり着こうとすれば、やはりやることは同じになると思います。それくらい抜け目のないことをしてると感じました。コールにはみえてい>>続きを読む
『キルビル』
星5.0
興奮しました。めちゃくちゃ胸が踊りました。B級映画の最高峰をここにみた気がします。現実とはかけ離れた、外国人が想像しそうな日本、が散見される本作ですが、それはいわゆる和的なもの>>続きを読む