オシリー

愛のむきだしのオシリーのレビュー・感想・評価

愛のむきだし(2008年製作の映画)
5.0
神に見放された性的倒錯者の愛の物語。倒錯し、迷い、遠回りをし、嘘もつく。本当の愛はどこにあるのか?もしかしたら、倒錯や、迷いや、遠回りや、嘘のなかにそれはあるのかもしれない。男とか、女とかは関係ない。0でも100でもない。散々まわり道をする。全てのドアを開ける。白になった後は黒になってみる。何回だって境界線を越える。そうしてみつかるものは思ったよりずっとシンプルな自分だ。なんだ、考えてみればそんなものだったのかってくらいあっけない。でも、わかりやすくて極端な方向に傾倒しているだけでは決してみつからない。本当の愛にたどり着くのは、死ぬほど大変ということか。
4時間弱の映画だったけど、全く長く感じなかった。むしろテンポの良さと展開の運び方の巧みさであっという間に時間が過ぎる。長さは感じないが時間分の重みは確かにあって作品の持つ迫力に搏たれる。シリアスで家庭的な暗さのなかに遊びがある日本映画の王道。いま、このときに心からみてよかったと思う一本だった。
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