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椿三十郎の小のレビュー・感想・評価

椿三十郎(1962年製作の映画)
3.9
「午前十時の映画祭9」にて鑑賞。『用心棒』の続編的作品で前作に続き、主役は三船敏郎、悪役は仲代達也が演じる。

主人公は椿三十郎。名前を聞かれたとき目に映ったものを名字、三十代の年齢をもじって名とする(前作の名字は桑名で、「もうすぐ四十郎」というのがお約束なのかな)。

頼まれてもいないのに揉め事に顔を突っ込み、良さそう人達に助太刀する。凄腕だけれどなかなか刀を抜かず、まずしっかり考えて知恵を出し、いざというときに腕力を振るう。そして最後にお待ちかねの悪役との決闘シーンという構図のエンターテインメント。

椿三十郎が助太刀するのは、とある藩で義憤にかられ立ち上がった9人の若侍で、彼らを上手いこと使うものだから、出世する気のない「部長 椿三十郎」って感じ(「島耕作」読んだことないけれど…)。

黒澤明監督の描く理想の上司なのかもしれない。上に媚びず、かといって頭は固くなく人の意見も聞く。読みと指示が的確で、部下にある程度任せるけれど、いざというときは自ら出張って剛腕をふるい問題を解決する。そしてまた別の問題を探しに行くみたいな。欲しいわーこういう上司、自分は絶対なれないけれど。

ラストの決闘シーンはビックリしたけれど、有名なシーンなんですね。このシーンの影響と評判によって、何作も続くポテンシャルを秘めた、もうすぐ四十郎の物語が打ち止めになってしまったのは残念。六十郎くらいまではあってもよかったのに。

●物語(50%×3.5):1.75
・安定の面白さ。ただ、前作に比べると厚みはイマイチかも。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・リアル志向の時代劇。迫力の演出がさすが。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・印象に残るシーンがいくつか。
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