茜

テルマ&ルイーズの茜のレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
4.0
女2人の逃走劇と言うべきか、ロードムービーと言うべきか。
私の中では「二度と帰る事はない」永遠のロードムービーって感じだった。

退屈で抑圧された日常からちょっとだけ離れて、テルマとルイーズという主婦2人で旅に出ただけのつもりが、
テルマをレイプしようとした男をルイーズが撃ち殺したため、一転してスリリングな逃走の旅になる。

テルマの旦那がとにかく高圧的で嫌な男だったり、無理矢理レイプしようとしたチャラ男も下品過ぎたりで、
2人の境遇や殺人の動機にも同情してしまうので、何とか逃げ切って欲しいと思わず応援してしまった。
ルイーズは気が強くて男性への身の振り方もしっかりしている反面、テルマが遊び慣れてないせいかイケメンに弱くて無防備過ぎるので、
逃走の途中でもとんだ災難に見舞われたりして、半ばルイーズが可哀相になるところもあった。
でもそんなトラブルを乗り越えて少しずつワイルドで強い女になっていくテルマには中盤以降もはや清々しさまで感じる。
最初はお嬢様みたいな可愛い服を着ていたテルマが、段々カジュアルな服装になっていく辺りも、内面の変化の象徴なのかな。

警察に捕まりたくないという意志は勿論だけど、2人の中で共通して一番強い想いは「自由」への憧れだったのかなとも思う。
つまらない平凡な日常や窮屈な家庭生活から逃げ出したいという思いが、最後に2人を羽ばたかせた気がした。
一見悲しいラストだけど、2人はこれで「解放」や「自由」を手に入れたのかなと考えると、意外とハッピーエンドなのかもしれない。
茜