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ニューヨーク1997のbackpackerのレビュー・感想・評価

ニューヨーク1997(1981年製作の映画)
4.0
2021/8/29 、5年ぶりの鑑賞。
→2022/1/8、ジョン・カーペンターレトロスペクティブにて劇場鑑賞。

ゲームクリエイター小島秀夫氏の代表作"メタルギア"シリーズの主人公・スネークの元ネタにして、『ハロウィン』で名が売れたジョン・カーペンター監督渾身の近未来SFスパイ映画。
2021年は公開40周年ということで、映画秘宝でも特集が組まれておりました。

ーーー【あらすじ】ーーー
1988年、犯罪増加率400%のアメリカは、NYマンハッタン島を丸ごと刑務所と化していた。
そして1997年、過激派のテロにより大統領専用機がマンハッタンに墜落し、囚人たちに拉致されてしまう。要求は、刑務所周辺警察兵力の撤退だ。
終身刑のため護送されてきた元特殊部隊員の英雄スネーク・プリスキンは、恩赦と引き替えに大統領を救出するよう命令され、嫌々ながら任務に就く。警察は彼の頚動脈に小型爆弾を注入したため、24時間以内に大統領を救出しなければ、スネークは爆死することに。
果たしてスネークは、大統領を救出し、爆弾の解除をすることができるのか……。
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ディズニー作品常連の子役として知られた(一時野球選手になり俳優業は引退してましたが)若かりしカート・ラッセルが、それまでのディズニー俳優というコメディ系のイメージを払拭すべく、ガラリと異なる作品に挑戦していた時期に巡り合ったキャラクター。
寡黙で、眼に闘志を漲らせ、ピンチを切り抜ける術を持ち、腕っ節が強い、アウトローのタフガイ。
それが本作の主人公、後に彼の代表主演キャラの一人となる、スネーク・プリスキンです。

本作(及びテキサス銃乱射事件を取り扱ったTV映画『テキサス・タワー』等)により、カート・ラッセルは色々こなせる演技派として知られるようになります。
ジョン・カーペンター監督とは、『ザ・シンガー』というエルヴィス・プレスリーの映画で過去に成功していたこともあり、『遊星からの物体X』でもタッグを組み、またまた大成功を収めています。
特殊効果撮影監督として、まだコーマン塾で頑張っていた若かりしジェームズ・キャメロンが参加しています。アンタッチャブルな黒歴史『殺人魚フライングキラー』を監督してたのと同じ年とは、いやはや不思議な話ですねぇ。

さてさて、そんな若かりしカート・ラッセルが主演。で、脇を固めるのは誰か?
リー・ヴァン・クリーフです。
まさかのリー・ヴァン・クリーフですよ!
私の少ない映画知識では詳しく語れませんが、リー・ヴァン・クリーフといえば、マカロニウェスタンでお馴染みの、いつの時点でもお爺さん顔のザ・燻し銀!
そんな親父が、スネークを無理矢理働かせるボブ・ホーク警察本部長役。
いやー、たまりませんなぁ、この配役。

物語は潜入任務のため、かなり静かに淡々と描かれますが、盛り上がりがないと言ってるのではありません。
タイムリミットへの切迫感からくるハラハラドキドキはふんだんに有ります。
それでも、余裕も忘れない。
計画外の事態に直面したら、壁の崩れた廃ビルからボロい椅子を引っ張ってきて、夜道でずしっと座り込み、じっと黙考することもあります。
これこそが、ホンモノの余裕感。
『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』でニコラス・ケイジにやらせたような"余裕の見せ方"ではなく、「時には立ち止まってでも深く考える」ことで見せる余裕感なのです。好き。


ラスト、それまで頑なに"Call me snake"と言っていたスネークが、ホーク本部長に言い放つ一言。うーん、かっこいい。
天の邪鬼なんだか、お前には俺を呼ぶ資格など無い、ということなのか。
どちらにしても、かっこいい。実に男臭い。
話の内容殆ど一緒の続編兼リメイクの『エスケープ・フロム・L.A.』以外に、コミックでお話が作られているらしいので、そちらも気になるところです。
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