三郎丸

殺人の追憶の三郎丸のレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
3.8
【捜査の粗さよ!!】

韓国で実際に起きた、女性の10代~70代の連続強姦殺人事件を元に【2019年解決済(時効成立した後ですが…)】作ったお話。

地元警察のパク刑事(ソン・ガンホ)
はい、名優。
こんなパッと見て華のない不器用そうなオヤジ丸出しの俳優が…とは思いますけど、毎回記憶に残る演技をします。特に静かに苦悩する佇まいの芝居なんか最高です。
陽気、シリアスな表情含めた雰囲気が薄っペラ俳優とは違います。
本作では、昔ながらの経験とカンを頼りに容疑者を張り倒し、キック、逆さ吊りにしたり、地下室に閉じ込めて自白を強要する滅茶苦茶な刑事を熱演!
(バリバリ違法捜査!)

ソウル市警からやってきたソ刑事(キム・サンジュン)
やり手。
緻密な思考の持ち主故、パク刑事の乱暴捜査手法に怒りや戸惑いを覚えながらも徐々にその捜査能力を認める。
特筆すべきは、
捜査の行き詰まりや容疑者に振り回された挙げ句、主役二人の刑事の自分に対する無力感から壊れてしまう演技は素晴らしい!
(まあ、ぶっちゃけ犯人とは別人に間違えられた容疑者は一番可哀想ですが…)

どんなに頑張っても、解決や達成できないとき
【人間はどうなってしまうのか?】

過去に数回、この作品を観賞していて、疑いを持たれたら人間誰しも色々と紛らわしい話の一つや二つはあるし、ソコにある人間の闇な部分は怖いねー。ということしか思うところはなかったです。が…
この作品は、観賞者が当然の如く求めるであろう、
【殺人犯が見つかり逮捕される】
という爽快感はなく、残るは犯人におめおめと逃げおおせられるという無力&絶望感…
結果、警察は責任を問われ、マスコミや国民に叩かれ吊るされる(映画ではそこまで描いてはないですが、実際は謝罪してます)…しかし、それが社会。
【目標や結果が出ないこと】
話の大小はありますが、ザラにというか、そんな日々です。
人は、それ(失敗)でも気持ちを持ち、そんな日々を生きていく…
誰しも、ヒーローみたいに華麗に生きていけない。だからこそ、あのラストの描き方なのでしょうか…?
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