ryosuke

緑色の髪の少年のryosukeのレビュー・感想・評価

緑色の髪の少年(1948年製作の映画)
3.6
サクッとまとまっている手堅い良作。
緑色の髪の意味については、森の中に写真の戦災孤児たちが現れるファンタジックなシーンで説明されるが、実は髪の色が変わるシーンの前のグランパの台詞にも既にメッセージが表れている。家が灰色に見える時に観葉植物の緑を置く、という彼の台詞は、依然戦いの予感を漂わせる戦後の灰色の世界に表れた「緑色」たる少年の存在と対応しているように思われる。子役時代のディーン・ストックウェルは気丈で利発な少年を好演していた。
緑色の髪をバカにする子供はメガネをバカにされているという連鎖。
ファンタジックな設定でありながら、緑色の髪が奇跡を起こしていくような展開はなく、映画の中で描かれるのは彼の髪が同調圧力の中で無残に剃り上げられてしまう過程であり、この点はリアリスティックで厳しい目線。また緑色の髪が生えてくるよという台詞に微かに希望を見せて終幕。
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