140字プロレス鶴見辰吾ジラ

妖星ゴラスの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

妖星ゴラス(1962年製作の映画)
3.6
地球が動いた日

「アルマゲドン」「ディープインパクト」「アステロイド」「インターステラー」数々の地球滅亡系映画はハリウッドパワーにより実現されていると思いきや、邦画界にも燦然と輝く作品がある。
それが「妖星ゴラス」である。

地球の6000倍の重力を持つゴラスの接近により人類は滅亡の危機に瀕する。

ここで「アルマゲドン」なら惑星に乗り込んで破壊作戦に実行する。
ここで「ディープインパクト」なら巨大シェルターを建設し人類の選別を始める。
しかしゴラスの圧倒的な質量の前にそれらは通用しないであろう…ならば!

人類が取った作戦は南極に巨大なロケットエンジン群を建設し地球をゴラスの軌道から逃すことだった…

もはや毎年の定番となっている「アルマゲドン20××」シリーズですら凌駕し、科学考証に全面的戦争仕掛けるかのような発想。
そもそも地球の軌道がズレたら環境が…なんてことは考えてないのが凄い。

メリエスの「月世界旅行」を観賞し感じたが、かつて植民地政策を取っていた国にとっては、乗り込んで行って破壊、武力を持って制圧、聖書に従っての選別を行うが発想の根底にあるのだろうし、敗戦国であり、長いものに巻かれる姿勢な日本は逃げること、自然の脅威の前に勝てないと畏敬の念を得ていたことが発想の根底にあるのだろうと思ってしまった。

土星の側をゴラスが通るときに、土星の輪を、時代劇の「お戯れを〜」のシーンのように表現していたのは面白かった。

しかしながら地球の危機にしては、皆のんびり構えて緊張感に欠けている印象があり、終盤に色々詰め込んで、それ自体がディザスターというふうに映ってしまっていた。
そもそも南極基地にて空気読まないアイツが出てきたときはなんやねん!?と思ってしまった。

当時の特撮、当時の特撮だからこそのワクワク感のあるパニックシーンもあり楽しめた。

宇宙ロケットの航行シーン、ゴラスに向かうシーンは、サンダーバード第3話「太陽ロケット号の危機」を思い出しテンションが上がった。



そういえば、戦隊ヒーロー「爆竜戦隊 アバレンジャー」のエピソードの中で、木星軌道をズラし地球と衝突させようもする悪役の話があったなぁ。