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ロープのryosukeのレビュー・感想・評価

ロープ(1948年製作の映画)
3.8
ヒッチコック作品の中でも実験的な要素が目立つ作品。
最初のカットを除くと全編ノーカットに見えるように撮影される。(と思っていたのだがもう二回明確にカット割りされているらしい)当時のフィルムによる制約に関しては、背中のアップで画面を真っ暗にすることによって繋いでいく。
最初に思いっきり殺しの現場を見せてしまうというのも衝撃的。
動機も不明瞭で、現在で言うところのサイコパスのような人間が描かれている。
ジェームズ・スチュアートが殺人を肯定したりするので驚いたが最後には真っ当な感じの結論に落ち着く。(変節にちょっと無理がある感じもしたが。)
実験としては面白いが、一つの部屋の中で完結することもあって映像は間延びした感じになってしまう。ヒッチコックの魅力である編集の妙が自ら封じられてしまうことも痛い。窓の外のミニチュア丸出しの街がずっと映っているのも画を安っぽくしていて頂けない。
会話をよそに家政婦の片づけを映し続けるシーンや揺れるドアの向こう側が見えた瞬間にロープを仕舞っている場面のタイミングなどは素敵。
ラストの煙草入れを取りに戻ってきてからのシーンは緊張感がある。スチュアートが犯行を想像するのに合わせてカメラが動くという試みは面白い。(「レベッカ」での同様の演出を発展させたような感じ)隣のマンションの赤と緑のネオンサインの光も異様な雰囲気を作り出している。
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