Omizu

無法松の一生のOmizuのレビュー・感想・評価

無法松の一生(1958年製作の映画)
4.5
【第19回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
『宮本武蔵』稲垣浩監督が1943年の同名作品をセルフリメイクした作品。同年のヴェネツィア映画祭には木下惠介『楢山節考』と増村保造『巨人と玩具』もコンペに入っており、『楢山節考』の方が有力視されていた。稲垣浩監督は感激の余り「トリマシタナキマシタ」と電報を打ったという逸話も。

素晴らしい。「気は優しくて力持ち」を地でいく無法松の辿った運命に感動した。カラーの映像も素晴らしいし、車輪の使い方もいい。

三船敏郎、高峰秀子の絶品コンビが最高。喧嘩は強い、走れば一番という松五郎だが、唯一良子には好意を伝えられない。健気で優しい松五郎が愛おしい。

リメイク元をまだ観ていないのでどこが検閲されたのか分からないが、完成度としては十分すぎるほど。

人力車の車輪は運命の歯車であり、生きる力でもある。優しく、力強く生きることを描いた傑作。
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