平野レミゼラブル

悪の教典の平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

悪の教典(2012年製作の映画)
3.4
試写会であまりの過激さからアイドルが途中退席したという逸話を持つ映画だが、大筋はスプラッタホラーのスラッシャー役を高校教師にしただけなため、その手の映画に慣れてる人なら全然大丈夫な作品。
いやまあ人が死ぬ映画楽しむのはおかしいと言われたらそれまでだけれども。

原作のうち映画映えする後半の殺戮劇をメインにして、前半のサイコサスペンス成分は割かし控えめな配分。
そのため前述の通り分類はスプラッタホラーなのだが、大体の殺害方法が銃でドーンなのでそこまでエグいシーンは少ない。ただ、凶器の散弾銃がクリーチャーみたいな変化をしたりと、ホラーテイストな演出は全開である。
そして主人公のハスミンを演じる伊藤英明が劇中で流れるモリタートさながらに、遊び感覚で生徒を惨殺していくサマがハマり役。割と熱血系のイメージがある人が冷酷な殺人鬼を演じるギャップがやはり堪らない。
人が入ったら死ぬ系の廃屋に住んでまでキャラ作りをする本作のハスミンからは、ジェイソンやレザーフェイスと肩を並べるサイコパスのスラッシャー役になるぞという意欲を感じられ、その姿勢は非常に偉い。
原作だとシャワー室で生徒とまぐわいながら「さあ英語のレッスンをしようか…」とか宣ったりしてて、サイコパスじゃなくてただのエロ同人の竿役じゃねェーか!!みたいなとこあったからね。

ただハスミンのスラッシャー一強状態を徹底させる都合上、原作での生徒たちの反撃が軒並みオミットないし改変されているので「FPSゲーム 悪の教典 難易度:EASY」感が否めなかったのは残念なところ。
でも「東大?To Die!!」のギャグはオミットしなかったり、ぼかしもなく普通にBLシーンを挿入したのは実に三池監督的だなって思う。
あと原作だと最悪の淫行教師でしかなかった柴原が意外に面倒見が良かったりする原作にないシーンがあったのは、流石に山田孝之に対する配慮があったのかなって思ったけど、結局その後にやっぱり原作にないパンティーの匂い嗅いで死ぬシーンが挿入されていたので配慮なんてなかった。

他にどうでもいいところとして、特別出演の原作者が演じる教師に教育論を説かれ(なんやこのハゲ…?)みたいな顔していたハスミンが好きです。