【逆のことをすれば面白い】2022年60本目
大人の事情によりディズニーランドのショーパレから姿を消したコメディウサギ。(アトラクションはあるが。)
アトラクションが好きならば、そのオリジンを感じられること間違いなし。
そして、何より、
「痛みを伴う笑い」が問題視される現代にこそ見てほしい傑作だ。
アメリカのアニメーションでは古くからバイオレンスなシーンが面白おかしく描かれる。トムとジェリーもそうだし、蒸気船ウィリーのミッキーも動物の扱いが雑である。
今作でも、コメディ役者のロジャーラビットは、冷蔵庫の下敷きになったり、オーブンで焼かれたりして、目ん玉飛び出したりするわけだ。
1988年に公開されたアニメーションと実写の合成という画期的な作品であるということは、言わずもがな、
笑いが平和をもたらすという大いなるテーマに感銘を受けるし、
その笑いをあえて暴力的な表現で描写し、人間の破壊活動との違いを主張してくる。
笑える暴力など存在しないのだけど、
ロジャーラビットたちの世界でおきていることは、暴力ではなく融和に向かう平和的な喧嘩だと思うのである。
テレビで見る我々は、ふざけ合っている他人と距離があって、思いもよらない同情が世に広まってしまってる結果、今の風潮に繋がってしまっているのではないかと感じるばかりである。
互いが本気でふざけているから面白いのであって、それが一方的でない限り、暴力はその中に介在しない。
どのような意志が、そこに存在するのか。
それが論点だ。
"意志"という点で、この作品で最も感動したポイントがある。
トゥーンの世界の銃だ。
弾丸が意思を持っており、
ボブがドゥームめがけて打った弾は、
全く違う方向へと飛んでいってしまうのだ。
銃というのは、人間が銃口を向けた先の対象に真っ直ぐ向かって飛び、そして破壊する。
しかし、トゥーンの弾は、意思によって破壊することをやめた。
つまり、我々人間も180度意識を変えることによって、銃は怖いものではなくなり、
戦争というものが起こらなくなるのではないかとさえ考えさせられるのである。