馬井太郎

4ヶ月、3週と2日の馬井太郎のレビュー・感想・評価

4ヶ月、3週と2日(2007年製作の映画)
3.5
アナマリア・マリンカは、昨年末に公開された「FURY」に出演していたことを、キャスト表で知って、えー?!そうだったの、と驚かされた。もっとよく観てなくちゃ、と心に残った。
夜は、街灯もなく、野良犬が歩き回り、電車の中に客もいない、そんな恐怖政治下のルーマニアは、その昔、オリンピックなどの水泳、バレーボール、体操競技などの表彰台に多くの選手を立たせた国だった。

題名だけでは、何の話か全くわからなかったものが、やがてはっきりしてくると、日本人の男である私には向こう岸のような距離感をおぼえた。無関心ではないから誤解無きようお願いしたい。妊娠はひとりではできないのだから。
撮影場所、色彩などからして、安っぽいつくりに見えたが、出演者の演技力と、ユニークな撮影アングルに、私の心は、どんどん吸い込まれていった。
アナマリアが見つけてきた堕胎を依頼した闇医者と、妊娠してしまった親友のローラとの会話、ベッドに横たわっているであろうローラをフレームから外して、カメラは闇医者だけを長回しで映し出す。腕組みをしながら、思わず感心の声をあげてしまう。
ラストシーン、二人の会話、こういうエンディングを観る度に映画っていいなあ、って思う。