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何がジェーンに起ったか?のryosukeのレビュー・感想・評価

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)
4.3
前の描写が必ず後に活きてくる緊密で無駄の無い構成と、主演女優二人、特にベティ・デイヴィスの強烈な演技が魅力的な良作。
ジョーン・クロフォードとベティ・デイヴィスはプライベートでも犬猿の仲だったというのだから凄い。
逃げたはずの鳥が再登場してその後の食事シーンに緊張感を持たせ、電話で声真似をするシーンも効果的に繰り返され、階段を降りようとするシーンは二度繰り返されることで事態の変化と切迫を示し、車椅子を押して家を出るジェーンは二度同じカメラワークで映し出されることで緊張感が高まる。
本作のベティ・デイヴィスはまるで悪魔のようである。一度目の電話の声真似、鏡を見て自らの醜さに直面するシーン、そこからの怒りを爆発させる様が特にインパクト大 。
ジョーン・クロフォードも哀れな様を熱演。ネズミに驚きくるくる回る姿が印象に残る。最初に子役時代の怨念が見せられていることで、哀れな彼女が実は一方的にやられている訳ではないということが分かるのだが、その点も見事な回収がなされる。轢かれたのはブランチであるはずなのに何故人形が落ちていたのか?という疑問も見事に解明される。
車椅子の不自由さと、何度も訪れるチャンスがことごとく失敗する様が観客にもどかしさを感じさせる。
お隣さんは毎回役立たず。メイドもあんなヤバイ奴いるのにハンマーを置かないでくれ... 毎度必ず最悪のタイミングで帰ってくるジェーンは、予知能力でもあるような不気味さを放つ。
ラスト、本作でほぼ唯一画面が明るくなる浜辺の場面で、眩い太陽光に照らされるジェーンが心なしか美しく見えるのが悲しい。ここでも「アイスクリーム」が活きてくる。 二度目はブランチはアイスクリームを断ら(れ)ない...
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