ペコリンゴ

ONCE ダブリンの街角でのペコリンゴのレビュー・感想・評価

ONCE ダブリンの街角で(2007年製作の映画)
3.8
記録。
教えない“Miluju tebe”が示すこと。

素晴らし過ぎた『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督作品。主人公の”男”はかつてのバンドメイトのフロントマン。

ダブリンの街角でアコースティックギターを掻き鳴らすストリートミュージシャンと、彼の歌に惹かれるチェコ移民の花売り。役名も与えられない”男”と”女”は音楽を通じて交流を深め、共に音楽を奏でるなかで心を通わせていく…

いやぁ、本当にこの監督の作品は曲が良い。本作もアカデミー賞歌曲賞受賞も納得の良曲揃いで音楽映画好きには堪らない。

低予算映画らしく後の作品と比べると荒削りでチープな印象は否めないものの、それを逆手にとったかのようなドキュメンタリータッチが素晴らしい。

ほろ苦いようで清々しくもある絶妙なラインを攻めてくるストーリーも秀逸。

ラブストーリーとして、あるいはヒューマンドラマとして、はたまた良質のサントラとして多角的に楽しめる良作でした。