映画も音楽も人間関係も、大人になってからの一生モノとはなかなか出会えない。その時どれだけ繰り返していても、時間と共に思い出さなくなってしまう。たくさんの情報と好きなものを掻き分けて、心に居座ってくれる何か。そういう何かをわたしはいつも探しています。この映画の主題歌「Falling Slowly」はまさにそういう存在で、未だにどっしりと心の真ん中に鎮座している。「君を知らない でも君が欲しい」という始まりから流れるこの曲は、永久にわたしを掴んで放さないでしょう。何も持たない男と女、音で繋がれたあの一瞬。恋とか愛とか、名前なんかいらない。想い合う成分が同じであればそれでいい。シニア好きとしては息子のバンド仲間をお茶でもてなす親父さんに何度でも泣きます。
