潮騒ちゃんさんの映画レビュー・感想・評価

潮騒ちゃん

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素晴らしい一日(2008年製作の映画)

4.4

この男によく似た人を知っている。「オレはここまでダメじゃないだろー」と本人は言うだろうけどいいえ十分、そして存分、あなたはダメな人でした。ひとたらしのろくでなし、ビョンウンの前に現れたのはかつての恋人>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.2

この苦味と濃厚なコクは間違いなくブラックだ。鍛練に焙煎された演出。シャキッと痛快な語り口。カップの底に沈んだ歴史は漆黒よりも深い黒。彼らは今、カラフルな国旗を塗り替えようとしている。こんなにもエンタメ>>続きを読む

美人が婚活してみたら(2018年製作の映画)

3.0

ヒロインであるタカコをどんな目線で眺めたら良いかわからない。共感すればいいのか、愛おしめばいいのか、それとも蔑めばいいのか。個人的にはどれにも当てはめられず、好きにも嫌いにもなれなかった。一番ガッカリ>>続きを読む

シシリアン・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

-

会いたい。どうしても会いたい。彼は何故、突然消えてしまったのだろう。「シシリアン・ゴースト・ストーリー」のはじまりは小さく芽吹いた初恋だった。同じ教室、斜め少し前に座るジュゼッペ。頬杖をつきながら見つ>>続きを読む

アバウト・レイ 16歳の決断(2015年製作の映画)

3.2

手堅いキャストとテーマ。これだけの一流どころを揃えていれば平均点以上は確実だよな。と、思っていたのだけれど…。個人的にはあと一歩好きになれない映画だった。未成年のトランスジェンダーとその家族。彼女たち>>続きを読む

アイム・ヒア(2010年製作の映画)

4.4

好きな人の一部になる。全部になる。一部と全部。…イチブトゼンブだ!と、何故かB'zが出てきてしまい観賞後に歌詞を検索して読み返すという謎の流れになってしまった。良い歌詞だった。ロボットと人間が共存する>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

3.8

「こんなときに?」なタイミングで発生する小ボケとドジは、スリラー映画の面白さを底上げするのに重要だ。シリアスになればなるほど可笑し味を発揮するのが人の常。懸命に戦い、懸命に守り、懸命にズッコケる。ダラ>>続きを読む

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年製作の映画)

4.6

モードが愛した古い窓は、いつからここに合ったのだろう。風を入れ寒さをしのぐための質素な木枠。ぼやけたガラスを覗きこめば殺風景に広がる季節。通りすがりの夏と長くて厳しい冬。一人ぼっちだったこの窓は、じっ>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.8

わたしは60年代のハリウッドを上っ面でしか知らないし、特別な思い入れもないし、なんならきっとこの先も熱心に興味を持つことはないかもしれない。唯一馴染みがあったのはシャロン・テートという名前くらいで、幼>>続きを読む

スマグラー おまえの未来を運べ(2011年製作の映画)

4.4

何故見逃していたわたし…!こんなにも好みな映画を!公開当時はおそらく「うーん妻夫木かー、何やっても顔カワイイからなー」などと舐め腐っていたのだと思う。まずは妻夫木に土下座したい。ごめんなさい!ちゃんと>>続きを読む

夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

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ひとりでいられる人が好き。もっと言うならひとりでいられない人は信用できない。内側を隠して立っていられる人が好き。なんでもないって顔をして。「わたしは待たない」と言う彼女の一秒一秒が砂より早く落ちていく>>続きを読む

リード・マイ・リップス(2001年製作の映画)

4.6

初見でヴァンサン・カッセルの虜になりDVD購入。そのまま10年以上棚に寝かせていた。なんて勿体ない…。粗野な男にウットリしたくて久しぶりに鑑賞。今、わたしの目は間違いなくハート型になっている。冴えない>>続きを読む

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

4.4

大事に大事に、そっと優しく。氷のように冷えた末端に手編みの靴下を履かせてもらったような気分。じんわりとした暖かさに心が弛緩する。ああ、とても良い映画だった。山と羊と男二人、とくりゃあどうしたってあちら>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

4.2

「こわいもの」は悪い子のところに来ると教わった。なかなか覚えない子供を律するための魔物。「鬼踊り」がある地方で生まれたわたしにとって、その恐怖の対象は怒りに湯つ鬼だった。いい子でいなくちゃ鬼が来る。嘘>>続きを読む

ソウォン 願い(2013年製作の映画)

4.0

どんな代償で償われても足りない。折り合いなんてつけられない。そういう悲劇は世界中に溢れている。8才の少女、ソウォンが体験する悪夢は小さな体と心で耐えられる許容を遥かに越えていた。人の手で守られてきたも>>続きを読む

ビッチ・ホリデイ(2018年製作の映画)

3.8

平均スコアの低さは何が要因だろう。不快感を煽られるからという意味でなら納得なのだけれど、退屈だったと一掃されちゃうのは残念だな。長く意味深な画も、無慈悲に淡々と追い詰められる展開も個人的には好み。リッ>>続きを読む

アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018年製作の映画)

4.2

この映画に込められたおキレイなメッセージは置いといて、まずはエイミー・シューマーの功績を称えなければならない。もう、アンタ、最っっっ高…!ノット美人ノットスリム。足のサイズは馬鹿デカイ。顔立ちも愛嬌た>>続きを読む

スマホを落としただけなのに(2018年製作の映画)

3.2

アレな人に拾われちゃったら落としたのが鍵でも財布でも結局は同じ末路。漠然と落とし物や忘れ物に気を付けるのではなく、「狂った人に拾われるかもしれない可能性」を頭に置いとけば絶対そういうドジは減るな、と思>>続きを読む

ひかりのまち(1999年製作の映画)

4.6

世界中の全員に置いていかれたような気分になることがある。雑踏の中は手に負えない。こんなにうじゃうじゃ人がいるのに、誰とも通じ合うことはないんだろうな。よせばいいのに立ち止まりそんなあたり前を噛み締める>>続きを読む

暁に祈れ(2017年製作の映画)

4.2

裸の男が立っている。みっちりと育った背中、鋼鉄のような足、全身を覆う分厚い筋肉。これだけ強靭な肉体を持ちながら、主人公ビリー・ムーアは無力だった。イギリス人のムーアは遥か彼方の異国の地、タイの刑務所に>>続きを読む

メリー・ポピンズ リターンズ(2018年製作の映画)

3.8

あの傘。あの帽子。あのスカート。メリー・ポピンズがお空から降りてくるあの冒頭…!体芯がピンと整う優雅なシルエットに幼い頃のわたしが体の中で反応する。メリー・ポピンズが帰ってきたー!さよならも約束もなく>>続きを読む

ホワイト・ラバーズ(2016年製作の映画)

4.0

「そばにいることが愛だと知った」というセツナ甘いキャッチフレーズと、キラフワに加工されたジャケット。無理矢理ロマンスに寄せた売り出し方に物申したい。ウソつけコラー!この映画に胸キュンはない。注意書きが>>続きを読む

怪怪怪怪物!(2017年製作の映画)

4.2

加減を知らない悪ノリと青臭いDK描写が「あの頃、君を追いかけた」と共通してはいるものの、あちらにあったような愛嬌はしっかりと封印されている。そこがいい。展開、後味共に期待以上のザワつきが残った。怪物映>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

4.4

死ぬほどベタでコテコテで、端から端まで古典的。見知ったテーマと展開がひたすらに続く。なんならちょっと古くさい。それでも尚この映画に激しく揺れてしまうのは、スター誕生の目撃者になれる喜びを、或いは散って>>続きを読む

パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年製作の映画)

4.0

この映画の存在を知る前にNHKで放送されたドキュメンタリーを見ていた。インドの生理事情に度肝を抜かれると同時に、生理用ナプキンが普及されるまでの長く険しい道のりにえらく感動。淡々とした番組進行とは裏腹>>続きを読む

ミスミソウ(2017年製作の映画)

3.8

鬱漫画としてよく取り上げられていた原作は、救いようのないストーリーと力強いスプラッター描写が確かに強烈だった。閉鎖的な田舎の中学生たち。クラスで始まる凄惨な虐め。それはやがて復讐となり、血で血を洗う殺>>続きを読む

黙秘(1995年製作の映画)

4.2

ああー90年代ミステリー映画の匂いだー。サスペンスフルな冒頭が既に完璧。なんせ凶器を振り上げるキャシー・ベイツから始まるのだから。ノスタルジーに放り込まれるには十分な幕開けだ。大富豪老婆の死。容疑者候>>続きを読む

マッド・ダディ(2017年製作の映画)

3.8

ここ最近、主演映画のジャケットを飾るニコラス・ケイジはだいたい同じ顔ですよね。オナラでも嗅いだような表情で明後日の方向を見つめているのが定番。またこの顔かー、となる。ジャケットを見ただけで満足してしま>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.2

古傷の皮を剥いて塩水に浸すようなことにはならずに済んだけれど、しっかりしみた。恋愛におけるいかんともし難い一方通行。よく知ったヒリヒリ。きっとわたしはテルちゃんもマモちゃんもちょびっとづつ味わって今に>>続きを読む

ジョンとメリー(1969年製作の映画)

3.6

男女が夜に出会うのは危険だ。酒と音楽、色とりどりのネオン、そしてキラキラと輝く目の前の瞳。全てにロマンチックのヴェールがかかり、たちまち気分はハチミツになってしまう。好奇心は大胆に、警戒心は投げやりに>>続きを読む

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.8

なんかもう、忌まわし過ぎて泣いてしまった…。哀しみでも喜びでも怒りでもない、純度の高い「恐れ」がしょっぱい水になる。恐怖映画を何本観ようと、グロやゴアで鍛えようと、この映画への耐久性など身に付かない。>>続きを読む

デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(2017年製作の映画)

4.6

どう見ても堅気ではない大男が素手で車をぶっ壊す冒頭。凶暴かつどこか侘しい所作に思わず見とれる。部品と共に散っていく怒りと傷心。穏やかに翳る画面。こんな掴まれ方をしたのは初めてかもしれない。無性にグッと>>続きを読む

岬の兄妹(2018年製作の映画)

3.6

あらすじを読んで面白そうだと思ったし実際映画として面白かった身としてはどのツラ下げて可哀想だ不謹慎だ言っていいのかわからないけれど、どう見ても可哀想で不謹慎な話だったよ。最近は障害を扱う映画も多種多様>>続きを読む

怪物はささやく(2016年製作の映画)

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死に逝く母との別れを待つ少年コナー。彼だけに見える怪物。ファンタジーの建前は早々に崩れる。そうか、これはそういう映画か。「愛する者との死別」という絶望は肌感覚的で想像できるし、大人ですら簡単に折り合い>>続きを読む

少女邂逅(2017年製作の映画)

3.8

「女々しい」や「雄々しい」という言葉があるなら「少女しい」があってもいいと思う。少女しい=危うく脆い未成熟の女性たちの集合体。圧倒的に少女めいている様。少女邂逅。広辞苑に載せてほしいくらいだ。いやー久>>続きを読む

スプリット(2017年製作の映画)

3.6

怪物誕生映画としてはなかなかの独創性、というか意外性、というか結局はどこからでもツッコめるシャマラン性。相変わらず好きなタイプの捻れと拗れでした。多重人格ミステリーというテンション上がる設定の上、主演>>続きを読む

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