R

さすらいのRのレビュー・感想・評価

さすらい(1957年製作の映画)
4.4
これも久々に見てみた。4回目くらいかな? やっぱ面白いわ! 旦那が外国で働いてるのでひとりきりの女が、不倫してて、子どもまで作ってる相手の男が、旦那の訃報が届いたので、これで一緒になれる!と喜ぶんやけど、女には既に若い別の男ができてて、フラれて、ナンテコッタと娘を連れてさすらいの旅に出る。で、数人の女に会って、愛を求める彼女らと情事に至ったり至らなかったりするのだが、先の女が忘れられずその喪失感が常に心を離れない。アントニオーニの映画らしく、画面全体がうるさいくらいストーリーの空気感や人物の心象を主張してきて、全ショットが見どころ満載。木々は枯れ果て、土地は荒れ、冷たい風が吹きすさぶだだっ広い平地。そこをボンヤリと人が歩くシーンなど、寒々しい風景が連綿と続き、とにかく陰鬱な印象を与え続けるので、好みは分かれるなのではないでしょうか。個人的には、やっぱすきやなー! 気づかぬまに異空間のなかをさまよってるような、異様な感じになってるのが、たまらない。それにしても、男と女ってのは、本当に分かりあうことなんてできない、全くタイプの違った生物だとしか言いようがない。昔は女が完全に男に合わせてて、現代は男が完全に女に合わせようと奮闘してるけど、まぁ、無理でしょう笑 たとえばどちらかが相手に合わせることができたとしても、結局合わせてるだけやから、それが幸福な状態であるとはまったく言えないし。恋愛においてのみならず、男と女の関係っていうのは、根本的に非常に難しい問題をはらんでると思う。それがこの映画見てると、肌で感じられるくらいのレベルでよくわかる。それにしても、アリダヴァリ演じる、浮気女もすごいキャラ設定! 7年不倫ののち、待ち続けた男を棄ててひょいっと若い子にいくんやから笑 あと、この悲劇に、何とも言えない、間抜けとも、皮肉とも、哀しくとも、とれるようなムードを与えている音楽もとても良かったと思います。Great film!!!
R

R