"時間が過ぎて…
気がついた時にはもう終わってしまっている…"
ヴェニス。究極な美との出会い。
そのひとときの、朽ちゆくことを知らぬ美の追求。
それとは裏腹に、嘲笑うかのように、老いゆく皮肉な運命を負う男。
それはひっくり返して止まらない砂時計のように取り留めもなくて、
老いた男は、
自分の身に起こることをカウントダウンしながらも、それに抗い、
執拗なまでに"光"に触れようとする。
I love you
なんて思わず口からこぼれてしまったものだから、この話を おじさんが美少年に恋するなんだか少し変態な話だと捉えてしまう人がいてもあまりおかしくない。
たしかに娯楽と捉えようと思えばできる。
私も正直、観るまでは そんな感じなのかと思ってた。みとめる…笑
でも観てわかったのは、ヴェニスに療養で来たあの男グスタフが恋したのは、
あの少年にではなく、
その彼の内側に輝く、まさに自分の描いていたような美そのものであったのでは。
(いやぁ…それにしてもあの少年は美でしかないね…)
そしてまさか涙が滲むとは。ラストで。
若さと老い、美と醜、曖昧と正確さ、天性と努力、感性と精神、現在と過去、純粋と不純…そして芸術家かつ独りの人間としての彼の苦悩。
その全てが詰まって一気に溶け出したような砂時計ならぬ砂浜でのラストシーンは、
本当に、悲しくて辛くて、収拾どうしようかと思った。
いやぁ良いの観た。