YYamada

リトル・ミス・サンシャインのYYamadaのレビュー・感想・評価

4.2
【ロードムービーのススメ】
 ~旅を通じて人生を紡ぐ~

◆旅の目的
 美少女コンテストへの出場
◆旅の工程: 約1,300キロの旅路
 ニューメキシコ州アルバカーキ
 →カリフォルニア州レドンドビーチ
  (ロサンゼルス近郊)

〈見処〉
①2000年代のロードムービー代表作
・『リトル・ミス・サンシャイン』は、2006年に公開されたロードムービー形式のコメディ・ドラマ。ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス夫婦の監督デビュー映画でもある。
・舞台はニューメキシコ州アルバカーキ。
フーヴァー家の7歳の少女オリーブは、美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」の予選を通過したと電話連絡を受ける。
・会場となるカリフォルニア州レドンドビーチまでの工程にコストをかけれない中流家庭のフーヴァー一家は、廃車寸前の
黄色いフォルクスワーゲンT2マイクロバスにて、800マイル(約1,300キロ)の旅に向かう。
・一行は、破産寸前のモチベーション・コーチの父、ヘビースモーカーの母、ヘロイン常用者の祖父、ゲイで自殺願望のある学者の叔父、アメリカ空軍士官学校に入るまで「沈黙の誓い」を続ける兄とオリーブの6人。離散しかねないほど不仲の家族が、不幸なほどのトラブル続きの旅を通じて、次第に結束を固めていく心暖まるストーリー。
・オリーブを除き、くせ者揃いの家族でも、鑑賞者が見習うべき点は多い。とくにコンテスト前日のモーテルでの一夜。それまで、元気一杯だったはずのオリーブが挫けそうなる場面に、彼女の最大の理解者の祖父のセリフ「負け犬っていうのは、負けるのが怖くて挑戦しないやつらのことだ」。ベタながら、我々鑑賞者にも刺さる金言である。

②低予算作からの飛躍
・無名俳優を配し、わずか800万ドルで製作した低予算な本作であるが、1億ドルを超える大ヒットを記録。
・また、第79回アカデミー賞では作品賞、助演女優賞を含む4部門でノミネートされ、脚本賞(マイケル・アーント)と助演男優賞(祖父役のアラン・アーキン)を獲得した。
・オリーブ役のアビゲイル・ブレスリンは、本作にて史上4番目の若さ(10歳11ヶ月)のアカデミーノミネート。ファットスーツを着込み、小肥りな少女を演じた彼女の演技力は「ファミレスでのアイス我慢」「
前夜の不安の涙」を見れば納得。その後、『幸せのレシピ』『ゾンビランド』にて順調にキャリアを築いていく。
・兄役のポール・ダノは撮影当時22歳。実年齢では母役トニ・コレットと12歳しか離れていなかったが、本作で15歳の多感な役を演じ、以降も『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』や『スイス・アーミー・マン』など注目作を賑わせる人気俳優に。
・本作の出世頭は、人気脚本家となったマイケル・アーント。本作にてデビュー後、名作の誉れ高い『トイ・ストーリー3』や注目作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の脚本を手掛けている。

③結び…本作の見処は?
何度でも楽しめ、欠点は見当たらない。
○: 家族が結束していく過程を共にすることで、家族に対して親近感を感じずにはいられない。
○: オリーブ役のアビゲイル・ブレスリンの泣きの演技は圧巻。
○: 7歳の子供が主演と思いきや、ブラックユーモアが過ぎるR指定映画。大人が楽しめる作品である。
○: アメリカのインターハイウェイ沿いの安いモーテルにファミレス。陳腐なミスコンテスト。アメリカ旅行しているような、リアルなアメリカの日常が見れる。
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