新潟の映画野郎らりほう

柳と風の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

柳と風(1999年製作の映画)
5.0
【緊迫感ある愛おしい繊細さ】


端的に言えば[硝子を買って来るだけ」の作品で 人物、構成、ストーリー等 驚異的飾り気の無さだ。
シンプルに加えて極めて最小限であるにも拘らず、時限による焦燥感や 曖昧な記憶による迷妄等 この内容に於いて[サスペンス]を感じさせる演出も また驚異的次元であると言えるだろう。

解り易い児童映画でありながらも、脚本の端々にイランの風土・通念・社会性が垣間見え 児童映画の枠組みを遥かに越えている。 全編繊細で些細だからこそ 訴える主題(これも極めてシンプルだ)が 烈しく強く胸を打ち抜く。

絶望と発奮と美しい救済が 錯時的に交差し、大きな落差の掬い上げを見せるラストがあまりに、涙出る程に美しい。




《DVD観賞》