140字プロレス鶴見辰吾ジラ

見知らぬ乗客の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)
4.2
怖い・・・怖いよ・・・話が通じナイナイナイ。

列車が偶然出会った男、その名はブルーノ。
このブルーノという男のコミュ力は中々高い。
主人公のテニスプレイヤーであるへインズは、最初はいぶかしくも感じるも徐々に話が弾んでしまう奇妙な空間に。そして持ちかけられる「交換殺人」。見ず知らずの2人だから互いの恨み人を殺しても・・・イケる!という超理論を振りかざしグイグイグイグイ主人公の日常に迫ってくる。

これがまたスリリング!謎の男ブルーノは頭もキレるし、行動力あるのでグイグイグイっと殺人をやらかすわけ。そうなると話が通じないマンのブルーノに、「私はやったぞ!おまえもやれ!」という超理論をぶっこんでくるわけなので、主人公が不憫なり。主人公だって妻を殺したいという内なる衝動をギリギリギリギリと滾らせる電話のシーンがあるわけだから同情の余地を挟めるわけなんですが、こんなヤツに絡まれたら来世まで脚引っ張られそう・・・。

ブルーノパパとブルーノママのシーン、特にブルーノママも話通じない感や絵のセンス、そして飼っている犬まで研ぎ澄まされた”狂人力”。

とにかくスリリングで、ブルーノの異質さの挿入ポイントがうまく、遠巻きに見られている、明らかに追てきている、そこにいる、という異形ホラーでない”狂人力”のなせるスリル。

タイムリミットサスペンスに重きをおいたテニスの試合から、間に合うか?間に合わないか?バレるか?バレないか?の拮抗したシーソーゲームがグイグイ引っ張っていく。クライマックスのメリーゴーランドのシーンは圧巻。「劇場版名探偵コナンかよ!?」とお口アングリーナ・ジョリーなアクション。

冒頭の靴のみを映すところから、見る側に「何か、考えよ」という振りをしっかり入れ込んで、常に殺したい人、もしくはそれに準ずる恨みの感情を心の深みから引っ張りあげられるような恐怖感が今作のライド感に寄与していた。白黒映画だが面白い!

私よ!これがヒッチコックだ!!