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クリフハンガーのbackpackerのレビュー・感想・評価

クリフハンガー(1993年製作の映画)
3.0
俺たちのシルヴェスター・スタローン(以下、スライ)主演。低迷期の最中久々に大ヒットし、筋肉アクションスターとして気を吐いた一作。

ーーー【あらすじ】ーーー
ロッキー山脈山岳救助隊員のゲイブ(演:スライ)は、負傷により遭難した同僚ハル(演:マイケル・ルーカー)と彼の恋人の救助にて、事故により恋人を死なせてしまう。ゲイブは自責の念から、同僚にして恋人のジェシーと別れ、山を降りていった。
1年後、ある犯罪組織が財務省輸送機をハイジャックした。しかし、彼らのお目当ての1億ドルの紙幣入りトランクを、謝って雪の山中に落下させてしまう。
「嘘の救難無線で山岳救助隊員を誘き寄せ、トランクを探させる」という策略を知らぬまま救助に向かったハル。彼を手助けするべく、ジェシーに会いに来ていたゲイブも同行。そこに待ち受ける犯罪者たち。
果たしてゲイブは、彼らの企みを阻止し、無事に山を降りることができるのか……。
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この頃のスライは、『ランボー3怒りのアフガン』と『ロッキー5』という続編物があまりあたらず、コメディ映画『オスカー』と『刑事ジョー/ママにお手上げ』が大コケしていました。スライの役者人生、このままズルズル低迷していく定めなのか……と思いきや、本作の大ヒット&アカデミー賞ノミネート等のおかげで持ち直し、暫くはそれなりの映画を生産していきます。その後は皆さんご存知のとおり、第三次低迷&迷作量産期へと突入していくわけですが……。
ただですね、この頃のスライは毎年のようにラジー賞主演男優賞にノミネートされているんですが、93年主演の2作(本作と『デモリションマン』)はノミネートされなかったんです!ラジー賞のチャンピオンとも称されるスライがノミネートされないなんて、すごい快挙!!(混乱)
ということは、この作品はもっと評価されてもいいってことなんじゃ……!?(錯乱)
欲を言えば、スライにはもっともぉっと大暴れしてほしいところですが、まぁ、しょうがないよね。


作品内容は題名に掛けられているとおり、クリフハンガーの連続。正直それ以上のことはありません。私のように偏差値貧乏なボンクラには大変ありがたい、単純明快な作り。そんな脳みそ筋肉映画に対して、時代の移り変わりが襲い掛かります。
本作公開の1993年は、70〜80年代筋肉アクションスター達の華の時代に終止符を打った『ジュラシック・パーク』公開と同年。やはり本作以降のスライも、青息吐息といった状態に突入していくのです……。

本作のような大ヒットをもう一度!と願ったスライが、レニー・ハーリン監督と再タッグを組んで臨んだのが2001年の『ドリヴン』。監督もスライも同時期にカーレース物を構想していたのが、ある意味運の尽きでした。
この頃に人気だったらしいカーレースイベント〈CART〉(Championship Auto Racing Teamの頭文字みたいですね)を舞台に、素晴らしいカーレース&クラッシュシーンを見せてくれますが、いかんせんスライが暴力を殆ど封印しているため、コレジャナイ感が凄い。
追い討ちのようにCARTの経営破綻が2003年に起きたりと、なんだかスライついてなさすぎるなぁ……。
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