R

MIND GAME マインド・ゲームのRのレビュー・感想・評価

MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)
4.5
めくるめく色彩美と躍動感があふれすぎて爆発を起こしまさに混沌と化した世界観に呑み込まれるようなアニメなので、これこそ映画館で見るべきだなーと、1回目は少々眠かったのもあって、ぼんやり見てたら、途中からわけわかんなくなって、えっ?えっ?どういうこと⁈ なにそれーーー! って感じになってしまったので、翌日もう一回見たら、おおおおお! おもしろい! 主人公の西くんが、片思いの女の子の借金取りとのゴタゴタに巻き込まれて、ケツから拳銃で撃たれて脳天バーン!のあと、死後の世界で神様の、あっち行ったら君の存在消滅するからね、とっとと行ってね、との指示をうっちゃって、猛ダッシュで逆方向に走る!走る!走る! そしたら撃たれるちょっと前の現世に戻って、逆に相手を撃ち殺し、ヤクザとのカーチェイスになって、猛スピードで橋を渡ってるとき、突然グオオオオオオオオオとそこに現れた超巨大クジラに呑み込まれ、気がつくと、中に30年暮らしてる爺さんに出会う。って前半。何よりも映像の目まぐるしさとダイナミズムに心奪われる、あ、あと音楽もめちゃめちゃいい。後半お姉ちゃんが、ペンキを浴びて布にベシャベシャと体当たりしてるシーンとか、わけわからんけどすげえ好き。一瞬おきに姿と顔が変わる神様も面白いし、たまに今田とかぐっさんの実写映像が顔んとこに嵌めてあるのとかいちいち楽しいし、ラスト直前の走りまくるシーンは圧倒的! すげえええええ!ってなる。すさまじいイメージの洪水! 楽しすぎ! けど、やっぱ何より、テーマが好きやねぇ。てかテーマと映画全体のうねりが見事に一致してるのが良い! そのテーマとは、一言で言うと、運命に逆らう、ということではないだろうか。はじめの電車に飛び込むシーンで、西くんは携帯メールに、人間とは自分の下した決断の結果の蓄積である、的なことを書いているが、前半は、まさに、自ら決断をすることなく、抵抗することなく、疑いをはさむこともなく、ただ大きな運命のうねりに流されているだけの人生が描かれる。気力を失って、周りの状況の奴隷となり、心に沸き起こってくる様々なネガティビティと、現象として現実に起こる様々なネガティビティに、屈するだけの弱い人間。そして、不満をダラダラ連ね、弱いもの同士、傷を舐め合って、過去は良かったねぇと回想するのみ。しかし! いちど死ぬことを経て蘇生し、運命に逆らい始める西くん! 逆らおうとすると、運命はさらに大きなうねりとなり、彼を呑み込んでしまう! 彼はそこでさらなる飛躍ができるだろうか、度重なる運命の挑戦に、応戦していけるだろうか? もちろん、その戦いは、西くんだけのものではない。まわりもみんな目覚めていって、それによって西くんも励まされる。勝つか負けるかはわからない、でも、たとえ負けたとしても、戦わないよりは、人間は自由になれる。何より自分を苦しめるネガティビティから解放される。こういうことは例外なく万人に共通で、誰もその戦いから逃れることはできない。おわったこともなければ、終わることもない永遠のストーリー。運命に抗うことすら、運命なんじゃない? とか、結局何だかんだ全部定めなんじゃない? とか言う人もいようが、それは戦わない人たちのシニシズムでしかない。自分で決めて行動することと、ただ流されることの間には、天と地以上の差がある。戦う君の歌を戦わないヤツらが笑うだろう。まさに、そういう応援歌だと思いました。めちゃめちゃ爽快だった!
R

R