ryosuke

骨までしゃぶるのryosukeのレビュー・感想・評価

骨までしゃぶる(1966年製作の映画)
3.8
冒頭のシーン、女衒の男の嫌らしい訛りの演出が強烈で掴みはばっちり。
お絹が「八人目」であることを知って客が大暴れするシーンのカット繋ぎは外連が爆発していて加藤泰節全開。
彼女たちの転機の合図として中盤に差し込まれる桜町弘子と久保菜穂子のクローズアップの切り返しは、理不尽な支配の中で築かれた女の連帯の強靭さを物語る。ヒロインの顔は序盤の頼りなさげだった姿とは別人の様相を見せている。
お貞の死を経て、工事の打撃音と共にお絹が決意を固めて以後、工事現場での怪我、病院、人力車での逃走のシーンにおいて、画面内では大量の人物が絡み合う大騒動が展開される。そんな密度の高い空間を、ヒロインは自由に向かって意志の力で切り抜けていく。
欺瞞に満ちた擬似家族、特殊な閉鎖社会の論理、人徳を語る警察らによる封建的な支配を、西洋の助けを借りつつ、日本に遍く適用される法の力で退けるヒロインの勝利の瞬間を見ていると、正しくモダンな物語だなと感じた。
ryosuke

ryosuke