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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君にのbackpackerのレビュー・感想・評価

3.0
【エヴァ初鑑賞一気見記録その②】
エヴァはズブの素人の私が、「シンエヴァをスクリーンで見る」為に始めた一気見は、1作目『DEATH (TRUE)2』で既にKO気味。
間髪入れずに見た本作『Air / まごころを、君に』は、伝説の「おめでとう」エンド(ネットミームとして存在は把握)ことアニメ版25話『終わる世界』及び26話『世界の中心でアイを叫んだけもの』の別パターンエンディングである、という事前知識有りの上で、鑑賞しました。

映画しか見てない者の率直な感想ですが、『Air』は割と単純で、面白かったです。

「最低だ、俺」から始まる冒頭シーンは、実際前作から連続して見ると、中々味わい深い感がありますが、"14歳"という最も多感な時期に、超ハードモードな環境に追い込まれた孤独な少年ですからね。
リビドーに突き動かされるのも、仕方ないですよ。その後しっかり自己嫌悪するのも良い。

戦自によるNERV本部襲撃シーンの力の入れようも大変素晴らしく、容赦のない殺戮、火炎放射器により焼かれる職員の断末魔等、徹底した蹂躙描写は、あまりアニメで見る事がないため、とても新鮮でした。

その後の、アスカ覚醒による2号機ブチ殺し祭りも、スピーディーながらに重みがある動きが大変素晴らしかったです。

この他、『Air』には印象的なシーンも多々あり(「大人のキスよ」に至るまでのミサトとシンジの会話及びミサトの死等)、大変楽しく鑑賞させていただきました。


打って変わって『まごころを、君に』。
完全に置き去りにされてしまいました。
何がどうなっているのやら、大量の疑問符が頭の中で大レースを繰り広げていました。

結局、人類補完計画なるものが何なのか、具体的説明がなされないんですね。
綾波(と思われる)巨大なヒト型の存在と、パシャっと液状化する人体から、思うところは多々あり、自分なりに解を導きましたが、「なるほど、25年間の長きに渡り、先達が考察を続ける理由はコレか」と思い知るだけでした。

「もういい加減現実に帰れ」と言う訴えや、庵野監督の自己投影の終着点という雰囲気を感じつつ、難解を通り越して奇怪と言えるぶっ飛びワールドにひとしきり浸りきり、えらく疲れる時間ではありましたが、なんやかんや楽しませていただきました。
(実写パートの映画館客席には度肝抜かれました)

大雑把に「コレはこういう物語だろ!」と切って捨てるには躊躇する映像世界。
果てなき考察・論争の対象となる稀有な存在。
エヴァ、とんでもない代物ですね。
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