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夜のkuuのレビュー・感想・評価

(1961年製作の映画)
3.7
『夜』
原題 La Notte.
製作年 1961年。上映時間122分。
ミケランジェロ・アントニオーニとエンニオ・フライアーノ、トニーノ・グエッラが共同で脚本を執筆、アントニオーニが監督した平穏な夫婦生生活に潜む危機を描いた作品。
撮影は、常にアントオーニと組んでいるジャンニ・ディ・ヴェナンツォで、音楽はイタリア・ジャズ界の鬼才といわれるジョルジョ・ガスリーニが担当している。
出演者には『雨のしのび逢い』(1960)のジャンヌ・モロー、マルチェロ・マストロヤンニ、モニカ・ヴィッティ、またドイツから監督ベルンハルト・ヴィッキが参加している。

結婚して十年になる作家とその妻が、病床にある夫の友人を見舞った。
彼の姿を見て、作家の妻は心が傾いていくのを感じる。
それは同時に、夫婦の絆が失われていくことを意味していた。。。

ミケランジェロ・アントニオーニの作品に興味を持ち、彼の評判を知りながら、彼の作品を見るのに時間がかかっていた。
今現在、彼の作品をすべて見たわけではありませんが、判断するには不十分ではあるけど、個人的にはアントニオーニ監督は、ただただ崇拝し、お気に入りになる監督ではなく、非常に高く評価し、映画製作における彼らの影響を認識する監督の一人であり、彼がなぜ一部のために働かないか理解することができます。
アントニオーニは、非常に興味深く、当然ながら影響力のある監督だと個人的に思います。
彼の作品の多くは傑作として観るに値するって云っても過言じゃないかな。
しかし、そのスタイルは多くの人を魅了し、卓越したイメージと写真の使い方、そして、彼の最高傑作のいくつかにおける主題の探求方法は画期的でしたが、彼のスタイルを離散的で曖昧で自己中心的だと考える人たちを疎外するのも否めない。
個人的には前者に近いと思います。
今作品はアントニオーニが最も充実していた時期に作られた作品で、彼の作品の中でも上位に入り、疎外感の三部作の中でも個人的に好きな作品です。
今作品は画期的で、卓越した演出と、この時代の10年で最高の撮影技術で、三部品の中で、今作品の方がより親しみやすく、人物描写も深く明確で、感情移入できる映画だと思いました。
ロケーションは驚くほど雰囲気があり、鮮明な映画の一つです。
特に見事なオープニングショットは忘れられないかな。
アントニオーニ監督の最高で最も完成された演出がここでも見れました。
思慮深く、残酷なまでに正直でありながら誠実な方法でテーマに取り組み、頑張りすぎず、尊大にならないようにとした今作品。
また、ジャンヌ・モローは過去最高の演技を見せてんのちゃうんかと思うくらい巧みで、街を彷徨うシーンはその演技を物語っている。
リディアの視点で描かれたジョバンニは、はるかに複雑で、一部の人が見るような浅はかな人物には見えない。
さまざまな人間関係への考察は洞察力に富み、見る前に予想もしなかった方法で多くの考えを引き起こす。
脚本は同情的であると同時に容赦がなく、ストーリーは考えさせ、洗練された複雑さで主題に迫り、感情的に結びついた。
テンポは慎重でありながら、決して退屈したり悩んだりすることはなく、無音の部分が多いこの映画にとっては驚くべきことです。
とても善き作品だと思います。
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