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ニーチェの馬の10000lyfhのレビュー・感想・評価

ニーチェの馬(2011年製作の映画)
3.5
荒野にひっそりと暮らす父と娘が生活基盤を失ってゆく 6日間。暴風の中、虫が鳴き止み、馬が疲れ、外部から望まない干渉をされ、井戸が乾き、逃げる先も無く、火が消える。監督ら作り手の意図は、ニーチェ的なニヒリズムや人生への諦観を、具象的とも抽象的とも言える手法で映像化したかったということだろうが、オーディエンス的には、ゆっくりと滅びゆくもののメタファと捉え、環境破壊、水不足やエネルギー枯渇などについての、人類への警鐘を読み取る人も多いのではないかと思う。作品に、様々な可能な解釈のレイヤが重なっているような。イントロと第6日がそれぞれ 1カットで、他の日はそれぞれ 4-7カット、全体で約 30カット、各カット平均約 5分と長く、多くのことが起こるわけではないので、時間はリアルタイムに近い感覚でゆったりと流れる。数少ない事象を、時間をかけて丁寧に捉えたモノクロ映像が美しく力強い。不協和音鳴りまくりな弦楽合奏が、吹き荒れる暴風サウンドと相まって、美しさと力強さをブースト
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