このレビューはネタバレを含みます
DJのザック、ポン引きのジャック、片言のイタリア人ロベルトが刑務所にぶち込まれて脱獄するお話。3人が3人ともかっちょいい。
練り尽くされたようなえげつない構図の数々に衝撃。思い通りに視線が誘導されまくります。美しいというよりも、洒脱な構図。そして3人のキャラクターの作り方も余りにも絶妙で言葉が出ません。
全てが淡々と描かれながらユーモラスさを失わないのは配役や演技やカメラワークが完璧に融合しているからのような。
常に寓話感とリアリティと諧謔が同居していて、最後まで一切その強度が保たれていてえげつないです。冒頭のザックの夫婦喧嘩から、その類型的なおかしみと寓話性が素晴らしい。
ラストシーンに向けても静かなままでボルテージが上がり、別れ道では感動とカタルシスが得られてしまうという。
どこを切り取ってもスチールとして成立するような素晴らしい画面構成で、穏やかな雰囲気に包まれた、全てにおいてハイレベルな傑作でした。