Jaya

浮草のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

浮草(1959年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

旅芸人一座の座長駒十郎の内縁の妻すみ子が隠し子清に嫉妬して団員加代をけしかけ一座解散になるお話。島の話かと思っていましたが、地続きでしたか。

画面の構図がいちいち美しすぎる。雨の中、駒十郎とすみ子が言い合うカットが抜群。他にも舞台の撮し方や、釣りのシーンなど、印象に残るカットがいくつもありました。話者を真正面から撮す手法も、カット割りも含めてやはり美しい。

素晴らしい名演揃いでした。息子にデレる駒十郎が堪らないです。好青年の清やカラリとした加代も素晴らしい。脇役の人々のやりとりもおかしみがあって温かい。ラストでのすみ子、二人の飄々としたやりとりに痺れました。

タイトルの通りの浮草稼業、普通の生活とはかけ離れているはずの人々から、こうまで心の機微が伝わってくるのはどうしてなのだろう?人生の襞が凝縮されているような脚本と表現に惹き付けられるばかりでした。

安心感を与えるような映像の力が途轍もなく、全てにおいてハイレベルで、一つの完結した物語が過不足なく提示された稀有な傑作でした。
Jaya

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