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ザ・チャイルドのhorahukiのレビュー・感想・評価

ザ・チャイルド(1976年製作の映画)
4.2
今じゃ絶対作れない映画。理由もわからず、殺されていく大人たち。戦時中の子どもたちも自分たちが死ななければいけない理由なんてわからなかったんだろうけど。

R3.2.21 Blu-rayにて再鑑賞
3.8→4.2

花火と戦争をリンクさせるような冒頭から、被害の及ばないところで眺めている時と、実害が及ぶ時の対応の違いをさりげなく浮かび上がらせる秀逸な出だし。簾ごしの子供が2度ほど登場するけれど、まるでオカルトホラー・Jホラーの幽霊のような演出とピントの移動を意識した見せ方、音による主観コントロールにもうまさがある。構造的には『ボディスナッチャー』を意識しているのは間違いなく、あのラストや「感染」含めて共産主義の侵略をそのまま子どもに当てはめているのがわかる。後の『ゾンビ』を思わせるシーンもあるのも興味深い。相手不明の無線が行き場のない物語を繋ぎ止めるのも手堅く、キャラとしてだけでなく物語としての推進力にも繋がっている。背後の崖から大量に集まってくる子どもたちが『鳥』のカラスの恐怖を植え付け、彼方とは違い無垢の隠れ蓑と意思の相乗効果に対して誠実に向き合ったevil childものの傑作。
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