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トワイライトゾーン/超次元の体験のMOCOのレビュー・感想・評価

4.0
「本当に怖いものを見たいか?」

 深夜、『♪ミッドナイトスペシャル』をカーステレオで聴きながら車を走らせる2人の男。突然カセットテープのテープが巻き込まれ、カーラジオも壊れていたために娯楽を奪われた2人は話始め、いつしか怖かった懐かしいTV『トワイライト・ゾーン(邦題.ミステリーゾーン)』の話で盛り上がります、やがて助手席の男が「本当に怖いものを見たいか?・・・見たいなら車を脇に寄せろ」と話し、運転していた男が車を止めると助手席の男は・・・。
 そんなプロローグで映画は始まります。

 当時頭角を表してきた映画監督ジョン・ランディス(狼男アメリカン)、スティーヴン・スピルバーグ(ジョーズ・未知との遭遇)、ジョー・ダンテ(ハウリング)、ジョージ・ミラー(マッド・マックス)の4人が集結して人気SFテレビドラマシリーズ『トワイライト・ゾーン』を、オムニバス形式の映画として制作し、ジョン・ランディス監督の作品にはヴィック・モローが主演するニュースは映画雑誌を賑わせました。そしてある日ニュースの時間に、撮影用のヘリコプターが墜落しローターに巻き込まれヴィック・モローと二人の子役が死亡したと、ヘリの墜落映像が流れました。

 3人を死なせてしまったこと、それに伴う保障問題・・・平常心でいられる訳はなかったのでしょう、ジョン・ランディス監督・脚本による新作の第1話「偏見の恐怖」は編集仕切れず突然話が修了してしまいます。
 ユダヤ人や黒人や朝鮮人に偏見を持つ男がタイムスリップに巻き込まれ、自分がユダヤ人や黒人や朝鮮人と間違われて命を狙われ、それでも最後は東洋人の子供を助けることになっていたお話です。

 第2話 はTV『トワイライト・ゾーン』のストーリー「真夜中の遊戯」(シーズン3第21話)の映画化、スピルバーグが監督、リチャード・マシスン、メリッサ・マシスン等が脚色をしています。
 老人ホームにやって来た一人の男が「遊びを忘れた日から人は年を取り始める」と規則違反の深夜の缶蹴りに皆を誘い、付き合った老人は、一夜で子供の体と心を取り戻します。男は皆に老人としてホームに残るか、子供に戻りホームを出ていくかの選択をさせます。
 子供になることを選んだのは1人だけだったのですが、一番ホームから抜け出したかった偏屈な一人の老人は缶蹴りに参加しなかったために悔しい思いをしながらホームに残ることになってしまうお話です。
 
 第3話 「こどもの世界」(シーズン3第8話)はジョー・ダンテ監督、リチャード・マシスン脚本です。
 感情のままに超能力を使ってしまう子供の恐怖に怯える一家(この家に少年に連れてこられたが少年に怯える人々)のところに偶然やって来た女性が少年に正しい能力の使い方を教える教師になるお話です。少年の明るい未來を暗示するエンディングになります。

 第4話 「2万フィートの戦慄」(シーズン5第3話)は若かりしウィリアム・シャトナー(スタートレックのカーク船長)が主人公のテレビ版の人気エピソード、原作・脚本を手掛けたリチャード・マシスンが再構成し、ジョージ・ミラーが監督し当時引っ張りだこのジョン・リスゴーが閉所恐怖症の男(主人公)を演じます。
 嵐に巻き込まれた飛行機の中で小窓の外を覗くと左翼のエンジンを壊している得たいの知れない生物を見た男はパニックに落ち入り、機長・スチュワーデス・他の乗客に伝えるのですが信じてもらえず、揉み合いになり連邦航空局の男から銃を奪い小窓の向こうの生物に向け発砲します。急激な気圧の変化で男の半身は機外へ吸いだされながらも、男は謎の生物への発砲を続けた後、機長等に機内に引き戻されます。
 男の発砲で一時は墜落の危機に陥った飛行機は無事空港に到着し、滑走路で降ろされた乗客は口々に男の批判をするのですが、通常では考えられない力が加えられたエンジンを見て・・・。

 そしてエピローグ、墜落の危機から乗客等を守ったと信じている男は着陸と同時に拘束され救急車で搬送されていきます。
 救急車の運転手は男に「サイレンはやめておこう」とカーステレオにカセットテープを挿入すると救急車の車内に『♪ミッドナイトスペシャル』が流れます。
「怖い目にあったな、もっと怖い思いをしたいか?」と運転手は男に話します。運転手はあの車を運転していた・・・。

 何気に観ていたプロローグが予期せずエピローグに繋がっていくところがとても凄い。

 4部構成の映画の中で一番魅せられるのは第4話。迫力ある映像とエンジンを壊すクリーチャーは流石です。
 スピルバーグの第2話もほのぼのとした作品で何かを教えてくれます。
 2つの話はオムニバスでなくても成り立つ作品、若いジョージ・ミラーとスピルバーグの凄さを思い知る映画です。

 
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