ねこ無双

10ミニッツ・オールダー イデアの森のねこ無双のレビュー・感想・評価

3.5
これと対になる『人生のメビウス』もあります!
10分 x 8人の監督によるオムニバス映画。

前回観て心を動かされたマイケル・ラドフォード監督の「星に魅せられて」がまた観たくて。
あれ?こんな話だったかな?
しかも主人公はダニエル・クレイグだったの?
記憶って恐ろしい…。
これを観るとサム・ロックウェルの『月に囚われた男』を思い出します。


①ベルナルド・ベルトルッチ
「水の寓話」

インドの寓話が基となっているそう。
イタリアに仕事を求め、同胞たちと来たインド人。
水が欲しいという仲間を木陰に残し、水を探す道中にイタリア人の女性と恋に落ちた男。
木陰の男、水を探す男、2つの速度の違う時間軸がある不思議な話。


②マイク・フィギス
「時代×4」
四分割ワンカットの映像。
それぞれ物語が進んでいくので目で追いきれなくて『ルクス・エテルナ』を思い出す。
それぞれ別の時間軸のようで、そのどれもにマークという男が関わる不思議な話。
フィギス監督は長編作でも何度か同じ試みをしている。


③イジー・メンツェル
「老優の一瞬」
ある俳優の若き日からの人生を10分に。


④イシュトバン・サボー(サボー・イシュトヴァンも表記される事も)
「10分後」
10分後に起こる夫婦の悲劇をワンカットで。
当たり前の事だけど、この主人公は物語の始まりでは、これから起こる10分後の事を予測できない。


⑤クレール・ドニ
「ジャン=リュック・ナンシーとの対話」
哲学者ジャンと女性との列車で異邦人論。


⑥フォルカー・シュレンドルフ
「啓示されし者」
過去・現在・未来について。
飛んでいる虫から見ためまぐるしい視点カメラ。
まるで時間がそこに見えるみたい。


⑦マイケル・ラドフォード
「星に魅せられて」
宇宙から帰還したトーマス。
(なんと80光年)
様変わりしていた地球。
宇宙にいた彼と地球での時間のスピードは余りにも違いすぎて…
そして彼が再会を果たした人物は。

桟橋をひとり歩く彼を遠く俯瞰する映像。
宇宙に依るべきしかない自分。
この宇宙の中の孤独。


⑧ジャン=リュック・ゴダール
「最後の瞬間」
様々な最後の瞬間を詩的な映像とともに。
私には難解だったけど…
「歴史の最後の瞬間」の映像とセリフが特に美しかった。