Same

ラーマーヤナ/ラーマ王子伝説のSameのレビュー・感想・評価

4.0
制作費8億円、9年の歳月をかけ10万枚もの手描きセル画を駆使し、日印合作で作られたスペクタクルアニメーション!!
この超大作は数回の映画祭での上映以外で上映の機会を得られておらず、まさに幻の作品ですね。現在横浜の小さな映画館、シネマノヴェチェントにてひっそり上映されています(2019年9月末に上映終了予定)

作画監督の小林一幸さんは『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』の作画も手掛けていて、その他ジブリの作画スタッフも多数参加しているので、ジブリ感のあるよく動くセル画アニメーションを見られるだけでも眼福です!
後半のめちゃくちゃ長いバトルシーンでは眼を見張るほど動きまくりますよ!背景の小さいキャラクターもグリグリ動く!

ストーリーはもちろんタイトル通りヒンドゥ教の聖典でもある叙事詩ラーマーヤナ。全7巻からなる物語の6巻までのストーリーをアニメ化しています。
インドの方にとってこの物語がどのくらい重要なものかはわからないので迂闊に映画としてだけみて、もっとコンパクトにしろよ!とは言えませんよね。
端折っていい場所がないのかもしれません、135分の上映時間を使ってもあまりに説明不足な部分もあれば、1つの映画としては戦闘シーンが長すぎたり演出に難はありますが、長い叙事詩をまとめて一本にした努力には素直に拍手を送ります!
ほんとはきっと2クールくらいのテレビシリーズでやるのがちょうど良さそうかな。

個人的には予々、ラーマーヤナを読んでみたいと思っていたので、初めてちゃんと物語の流れを理解できてとても為になりました。
勧善懲悪でありながら、とても教訓的であり万人が楽しめる物語でした。

薬草を取ってくるのに薬草の生えてる山ごと削って持ってくる破天荒な猿族の国キシュキンダーのハヌマーンや、魔族の国ランカ王国の王ラーヴァナの弟で9ヶ月寝て1日だけ起きる巨大な魔人クンバカルナなど、多彩なキャラクターはほんと魅力的!
ラーマ王子はあまりに聖人すぎるのですが、怒りに身を任せてしまってそれをたしなめる弟ラクシュマナという構図など、人間臭い部分が見え隠れするのもいいですね。

なんというか、こんな作品が埋もれてることがもったいない!個人的には日本の優秀な声優さんに吹き替えをしてもらって、デジタルリマスターしたものが是非みたい!
現在日本版のDVDすら発売されていない現状は勿体無さすぎます!
Same

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