八木

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐の八木のレビュー・感想・評価

4.2
 最新作に向けて予習(休日霧散)。
 どうしようもない人間好きからするとたまらん。このシリーズは、帝国が”世界のため”に作った要塞を「デス・スター」とか迂闊な名前を付けている時点で、善悪を明確に色分けしてしまってもよい作品なわけですけど、アナキンのどうしようもない人間くささはどうしても嫌いになれない。要するにこいつ、そそっかしいんですよ。見えてる事実は同じでも、結論を出して行動するまでがいちいち早いんです。そして、プライド高くてガンコなんです。そんなやつは人間ですよ、もう。完璧じゃないのだ。
 後期三部作がこれで完結するのを振り返ると、「フォースのバランスを取るに値する人間」と何度も押されていたわりに、それがジェダイ内で言葉だけで共有されてて、7時間近くかけて、そういったアナキンの資質が視覚化された瞬間が少ない、ていうかほぼ無かったのがは大きな問題ではないかと思う。当初から評議会では『こいつ危ういぞ』という評価だったし、思えばずっと放っておかれてるのよな。パダワンになったのだって、クワイ=ガンのうっかり伝言から流れでダラっと始まった感じあるし。
 でも、やっぱりダーク・サイドに落ちるまでの過程がすごくどうしようもなくて悲しくて、感動した。
 『俺がテレビつけたら巨人が負ける』みたいなもんでさ、2択3択で悪いほうを引き続けるときの、世界中から見捨てられたようなしょうもなくて苦しい気持ちはすげえわかる。誰が悪いっていえば、始めてしまった自分自身てことかもしれないけど、自分だけは「自分が悪くない」ってことをよく分かってしまってる。もうそのあとは剣を手に取ることしかできないのよ。被害者であったのに、もう加害者になってしまってる。それでも最後、パドメがアナキンに関する、理屈じゃない印象を呟くのですが、それがEP6の展開と繋がっていって、単なるお涙頂戴じゃ処理できない情報が込められていたことがわかった。
 ルーカス演出どうかしら、と苦手意識を感じていたけどEP3で4本目の鑑賞となり、すっかり慣れたというか、楽しめるようになった。12時間以上かけて、「SW見て良かった」と素直に言える自分がおります。
八木

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