円柱野郎

ゴジラVSモスラの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラVSモスラ(1992年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

平成ゴジラシリーズ第3作。
小笠原沖への隕石の落下によって目覚めたゴジラ、そして環境破壊が引き金になって復活したバトラやモスラの三つ巴の戦いが始まる。

前作「vsキングギドラ」がSF風味なら、本作は「モスラ」と小美人“コスモス”あたりを組み込んだファンタジー風味な印象が強い。
とはいえ乱開発などの環境破壊云々がテーマとして前面に出てくるので、その辺はちょっと説教臭くもあるが、ある意味でバブル景気後の日本の空気が何となく感じられる作品かな。
子供時分に観た身としては、環境破壊に関する批判は「ドラえもん のび太とアニマル惑星」(1990年)で散々植え付けられていたので、この辺の主張は割と受け入れやすかったものの、地球環境の守護神が結果的に人間を守ってゴジラを倒すという流れは分かるような分からん様な。
まあモスラが良い奴でバトラを説得したんだというのは分かるし、子供の時には気にならなかったのだからそれでいいのだろうけれど。
今にして思えば、その辺のユルさが大森一樹的な脚本なのかもしれない…のかな。

映画の冒頭は別所哲也演じる主人公が遺跡荒らしをしている場面から始まる。
どう見ても「インディ・ジョーンズ」の引用だけど安っぽいw
その能力が話の中で生かされているのかは疑問だが、インファント島の調査に行く流れは(多少の強引さはあれど)テンポがいいと思う。
(インファント島でお約束の原住民は出てこない、というか出せないのか?)
その主人公と小林聡美演じる元妻やその娘との家族の話も、人間ドラマ的には割とユーモアも感じられる場面があるので悪くないかな。
でも、これに話が取られてゴジラ対策的なドラマは薄目。
平成ゴジラのレギュラーキャラである三枝未希(小高恵美)なんて、そこにいてるだけみたいな扱いになっちゃってるし。

大竹まこと演じる観光開発会社の社長は、キャラクターとしては完全に憎まれ役。
「怪獣(またはコスモス)を観光に利用するつもり」というくだり自体は「キングコング対ゴジラ」や「モスラ対ゴジラ」の昭和ゴジラへのオマージュもあるのだと思う。
でもあまりにもステレオタイプな憎まれ役なので、「キングコング対ゴジラ」の多胡部長(有島一郎)くらい愛嬌があってもいいのになどと考えてしまったが…、まあこの辺がバブル崩壊後の空気感なのかなとも思ったり。

ということで、環境破壊をちょっと反省したことでモスラとバトラがゴジラから守ってくれて、大竹まことは事業がことごとく失敗したあげくに部下にも見放され失墜、めでたしめでたしというお話でした。
というか、コスモスって飛べたんかい。
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