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ホームワークのwigglingのレビュー・感想・評価

ホームワーク(1989年製作の映画)
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これは初鑑賞。ずっと観たかったので本当にありがたい。

イスラム革命そして対イラク戦争後の教育制度に疑問を感じるキアロスタミ監督が、子供達に直接インタビューする模様をおさめた作品。子供たちの受け応えや表情の機微から、彼らが抑圧的な状況下に置かれていることが透けて見えてきます。

インタビューは聞き手である監督とカメラに対面するかたちで個室で行われる。宿題をしてこなかった生徒が選ばれ、なぜ宿題をしなかったのか、家では誰かに勉強をを見てもらえるのか、勉強をしなかった時の罰は?、逆にご褒美は?、家ではアニメを観る?などの質問が浴びせられる。

見ようによっては怖さのある黒メガネのキアロスタミに詰め寄られ、そのすべてを記録されているというかなりの圧迫ぶり。そりゃ泣き出す子供だっているよね。ほんと子供に容赦ないなぁ。

当然のように模範的な回答しかしないんだけど、時折本音もこぼれる。
彼らの親の多くは文盲で勉強をみてやれない、なのに大量の宿題を課せられ、しかも彼らは労働力でもあり勉強に集中するどころではない。
学校に盲従する親は、子供が先生に叱られれば体罰ですよ。ベルトでの鞭打ちとか...。

そして、朝礼で声を合わせての「アッラーは偉大なり」「フセインを殺せ!」コールにゾッとする。シーア派のカリフであるアリー礼賛にも、イランの当時の状況が色濃く反映していることがうかがえる。
80年代でこれかぁ、と気が遠くなります。

ドキュメンタリーの手法で撮ってるけど、どこまでが素なのかよくわからない。キアロスタミのことだから絶対にどこかに妙な仕掛けをしてると思うんだよね。と思わせておいて実は完全なドキュメンタリーなのかもしれない。
全くもって信用のできない映画作家だよなぁ。
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