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おおかみこどもの雨と雪のsanshokuのレビュー・感想・評価

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)
4.1
もう何度も観ているはずなのに、初めて心の底から「良い作品だった」と言えた気がする。劇場で観た時にこの作品に感動できる感受性が無かったことが今更になって少し悔しい。歳を重ねていくに連れて涙腺が弱くなるそれの可能性も否めないが、あの時感じ取れなかったであろう全てに反応してしまい、ドライアイなんてものはこの世に存在しないではないかと思える程に目元が潤っていた。グラグラに感情が揺れ動く。

確かに当時はボーイ・ミーツ・ガールだったり夏を駆けるような物語を期待していたし、まさに『時をかける少女』や『サマーウォーズ』を求めていた。観賞者側の勝手なイメージでしかないが、細田守といえばそうでしかなかったし、そうあって欲しかった。そんな中で観た『おおかみこどもの雨と雪』は当然期待外れだった。今となっては「何を馬鹿なことを言っている、ちゃんと作品を観たまえよ」でしかないのだが、それまでの作品が好きだった私にはそれなりにショックなことであり、当時の感情を引きずりに引きずって9年、ようやくフラットな状態で本作を観れた気がする。時が解決したのか、大人になったのかはよく分からない。改めて考えてみれば流石に根に持ちすぎだろと自分でも思う。あの時の感情が『バケモノの子』と『未来のミライ』を観た時にも影響してしまっているのが後悔でしかない。

なんだかこれでようやく『竜とそばかすの姫』を観る準備が整った気分でいる。とても楽しみだ。金ローよ、ありがとう。
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