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バケモノの子のsanshokuのレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
3.7
この作品も、もう何度も観ている。なんだかんだ言って細田守監督作品の魅力には抗えない。例えばで言うと、熊徹と九太のやり取りがとにかく愛おしいとか、実の父親が九太に気付くシーンの「間」が最高だったとか。あのシーンでは号泣する寸前に出てくる詰まる様な息が漏れてしまった。やっぱり細田守監督作品が好きなんだなと気付かされる。それでも思うところが無いわけではない。後半の展開とか。どんな意味が~とか、何を意図して~とか、一応分かっているつもりではいる。けれども、なんだか物足りない。説明なのか、描写なのか、自分でもいまいちよくわかっていないけど、なんとなく、少し、ちょびっと、ご都合が垣間見える感覚がある。

後半といえばクジラのシーンが印象的だ。関東での暮らしを始めたばかりの頃、『バケモノの子』と言えばこのクジラという印象が強く記憶に残っていた。記憶違いも甚だしい話ではあるのだけど、上野の科博のクジラのオブジェを初めて見た時に「バケモノの子じゃん!ここのクジラだったのか!」なんて思って感動したことがある。まあ、実際はそんなことはなくて、改めて観てみれば物語は渋谷周辺がメインだし、あのクジラはモノに憑依したりしたものではなくて変化したものだったし、それに冷静に考えて電車に乗ったといっても渋谷から上野まで乗っていたとしたら、敵に追われている状況なのによくその距離を移動できたなとも思う。東京都内の距離感がなんとなく分かる様になった今となって言えることなのだけど。

このタイミングで観たからなのか、闘技場のシーンで「めっちゃオリンピック…」って思った。何度も観ているはずなのに、この気付きは初めてで、なんだか少し嬉しくなってしまった。

あと、今更になって気付いたことで、細田守監督作品にはクジラがよく出てくる気がする。『サマーウォーズ』のOZの中でも出てきていたし、予告を観ると『竜とそばかすの姫』でも出てくるっぽい。入道雲と同じで何か意味があるのだろうか?
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