バルバワ

悪い種子(たね)のバルバワのレビュー・感想・評価

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)
3.9
※このレビューはバルバワのどうでもよい自分語りと宣言から始まりますので、悪しからずm(__)m

緊急事態宣言が解除されても、まだコロナ禍なのは間違いなくリスクをとることはできないチキンボーイな私。

映画禁止法略して禁映法が発令されている我が家。

そして、在宅をさせてくれない会社。

そもそも、映画館事態が休業している中で、おいそれとは行けず隠れシネシタンにもなることが難しい私の映画欲の唯一の捌け口がテレビでのAmazon prime鑑賞だったのです。

しかし、娘が起きているときは《アンパンマン》と《いないいないばぁ!》をエンドレスループ。
娘を寝かしつけたとて今度は嫁と《あつまれ!どうぶつの森》を始め、私は魚や虫を採取し金を稼がなければならないエブリナイト。

おいそれとAmazon primeも観れねぇぜ!←自業自得

なので、私は家で映画を観ることを諦め通勤時間を利用し、こっそりAmazon primeを堪能する"隠れアマプラン"になることを決めました!

え?マッチポンプ?聞こえない!聞こうとしない!隠れアマプラン《鉄の三ヶ条》行くぞっ!オラオラ(`□´)

隠れアマプラン鉄の三ヶ条

其の一、通勤時間に鑑賞すべし

其の二、通信制限には注意すべし

其の三、歩きスマホはするべからず

…以上を遵守し、こっそりと映画館解禁に向けて映画欲を高めていく、それが隠れアマプランだッ!

いやぁ、終わり方がなぁ…。

あらすじは家の子が猟奇的でママショック!…的な感じです。

【稀代のクソガキ】
私が愛聴している《タニムラ洋画劇場》というYouTubeチャンネルで紹介されていた今作。思わず「悪い子だね(種子)!」と可愛らしいダジャレをブチ込みたくなること必至なタイトルですが、内容は決して可愛らしくありません。
とにかく主人公のローダがマジでムカつく!ローダを演じているパティ・マーコックさんはこの演技でその年のアカデミー助演女優賞にノミネートされたようで、それが頷けるような演技をされてます。

とにかくこのローダ、上から目線で直情的、嘘を平気で吐ける上に嘘泣きも上手いという、オリンピックでクソガキという種目があれば金メダルが確実なクソガキでして、しかも、大人受けはいいんですよ、ムカつく。

あと、こういうクソガキ怖い映画って犯罪計画も緻密だったりするのですが、このローダはその場しのぎの犯行とアリバイ工作を繰り返します。この辺の子どもっぽさを描いているのは個人的に新鮮でした。←64年前の映画


【演劇のような映画なわけ】
今作は原作小説の他に映画より前に舞台にもなっているようで配役も舞台から引き継ぎされている人が多く、クソガキローダ役のパティ・マーコックさんもその一人です。
なので基本的な舞台はローダん家だし、台詞も演技も大仰です。特にローダのお母さんのクリスティーンの演技は一人芝居のテンションでした。
まぁ、元が舞台だからかな…と映画っぽさを排した演出を飲み込んでいましたが《タニムラ洋画劇場》やWikipediaを見ているとそうではないみたいでして、すべての原因はヘイズコードにあるように思えました。

【現場を知らねえ奴ぁ、すっ込んでろ!】
前述したヘイズ・コードとは1930年代から60年代まで存在した倫理規定で目的は映画によって子ども達の心を健全に育てるためという感じなのですが…。
まず、性的な表現を控えるのはまだわかりますが、出産シーンはシルエットであっても許されないとか聖職者をバカにしないとか、うるさいことこの上ない禁止事項に加え、旗や犯罪行為には細心の注意を払い下品にならないように描かなければいけないという規制事項もあり、その中には男女が同じベットに入ることや結婚に至る恋愛描写に対しても記載がありました。
何より公務員や議員、中でも聖職者に対してはリスペクトを常に持ち、決して茶化してはいけないという禁止や規制がウザったい。
もともとこのヘイズ・コードは映画製作に携わっている人が考えた規定ではなく、キリスト教の神父が提唱したようです。現場を知らない奴は本当に黙っててほしいですね。
今作の製作された時代はこんなにもしがらみがあったことを考えると演劇のような演出(舞台では特殊技術を使わず体の動かし方や照明、音響での間接的な描写を用いる方法)を用いたのは無理からぬことかなと思った次第です。

【ヘイトなエンディング】
今作は終盤前述したヘイズ・コードの影響で原作小説と大きく変わったのはエンディングです(これは《タニムラ洋画劇場》でも分かりやすく解説されてます)。
どういうエンディングだったかはネタバレはしませんが、終盤の展開はまだ飲み込めるものの、そのあとのオマケ的な映像がそれまでの緊張感のある作品のトーンを台無しにしているように思え、私はあまり合わなかったです。

【最後に】
ちょっぴり苦言は呈しましたが、役者の皆さんの演技は熱がこもって見応えありますし、クソガキローダはかなり良いヴィランです。興味がおありならば是非是非鑑賞してみてはいかがでしょう。
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