たにたに

フリーダム・ライターズのたにたにのレビュー・感想・評価

フリーダム・ライターズ(2007年製作の映画)
3.8
【彼女の原動力はどこから来るのか】

差別撤廃条例により、様々な人種を入学させることになった公立高校が舞台。
そこの言わば荒くれ者たちクラスの担当となった女性教師の物語。

ギャングから命を狙われているものたち。
ほとんどの生徒が銃を向けられた経験のある若者なのだ。

肌の色だけ、要は見た目だけで判断され、差別を受けている。黒人、アジア系、メキシコ系の者たちも互いに歪み合っている。

彼女はそんなまとまりのないクラスをうまくまとめ上げてみせた。その方法は、毎日日記を書かせるという課題。自分の感じていることを自由に書いて、読んで欲しい者はロッカーに入れれば良い。

そこには、若者たちの悲痛な悩みが書かれているわけだ。徐々に心の内を打ち明ける中で、このクラスにいる他人が自分と同じ生きづらさと苦悩を感じているのだと気づいていく。

それに対して、彼女はユダヤ人差別を例に挙げ、ホロコーストを学びに、自費で生徒をアウシュビッツ収容所跡に課外学習へ連れて行く。

生徒へ向ける姿勢は素晴らしいものだが、献身的にも程があるようにも思う。離婚を決意した夫にも同情できる。

彼女が生徒たちのために身を削るメリットは何なのだろう。
世間が変わらないければ、こうして個人が犠牲になるしかないのだろうか。

いや、彼女は犠牲と感じてはいないだろうが、これを出来る人はなかなかいないだろう。
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