KanaiSatoru

チェイサーのKanaiSatoruのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
4.1
チェイサーを観ました。
韓国の映画はホントに良くできてますね。リアル感が日本とは比べものになりませんね。

この映画、何気なく観てそのまま一気に観てしまったのですが、最初に思ったストーリー展開とかなり違いましたね。
猟奇殺人の話なんで、刑事と元刑事が謎の犯人を探し当てる、的な話と思っていたのです。
ところが、わりと早い段階で犯人と対決するどころか、犯人は警察に捕まって犯人像は謎どころか、姿形もわかったしまうので。
あら?この後、どんな展開になるんだろ?という予想を裏切られた序盤の興味で一気に観てしまったのです。

わからないのは、元刑事のジュンホが、なぜにそこまで風俗嬢のミジンを探し続けるのか?
風俗嬢の元締めなんていい加減で、お抱えの風俗嬢が1人や2人行方不明になってもそんなのよくあることとして、探さないもんだろう、と思うのです。

実は行方不明になった風俗嬢ミジンには娘がいて、ひょんな事から保護した娘と行動を共にすることになるのですが、映画的には娘に影響されて、それがミジン探しの原動力になったということにしたいようですが、自分にはそうは思えませんでした。
半分は意地なのか、元刑事という設定がそうさせるのか、その理由が分かりにくいかった。

ジュンホが元刑事という設定なので、「実は優しく正義感のある男」という人柄だったという設定を理由とすれば、ミジンを探すのも娘を保護するのも、犯人と戦うのも行動全てが繋がります。

ここから少しネタバレあります
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この映画、終始、犯人を追い詰められそうで追い詰められないというヤキモキした展開(警察の無能さにも)が続き目が離せないのですが、最悪なのは、ミジンを殺した事です。
なぜ彼女を殺す必要があったのか?
見る側の誰もが彼女の無事を祈っていたはず。
その期待を裏切ったのは、全くもって逆効果です、胸糞悪くなるだけで、自分の中ではこの展開のせいで、一気に評価が下がりました。
最後の犯人との攻防も、まあ集中できないと言いますか、ミジンを殺した作り手側への怒りがおさまらず、スッキリしない感想で終えることに。

見終わってから知ったのですが、実話を元にしているようですね。
でも、実際の事件は同じ家で何人も殺していないし、風俗嬢を特別狙ってもいません。
凶器と連続殺人という共通点以外は、ほぼ事実と違うようですから、そう考えると、やはりミジンを殺したのは、映画オリジナルの脚本ではないか?
ホントに胸糞悪くなる映画です。

人には薦めにくい内容ですが、韓国独特の暗さ、路地裏の闇なんかを上手く描いている、パラサイトに通じる雰囲気の映画と思います。
82点です。
KanaiSatoru

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