茜

昭和歌謡大全集の茜のレビュー・感想・評価

昭和歌謡大全集(2002年製作の映画)
2.0
クソガキの正義とおばさんの正義がぶつかり合う殺し合いバトル。

バイオレンス描写は期待以上だったけど、全体的にはなんかいまいち乗り切れない。
私は女だしおばさん寄りなので、おばさんグループ達が抱える虚無感みたいなものって何となく想像が出来る。
でもクソガキグループに関しては、彼らの抱える鬱屈としたものや空虚感のような気持ちが上手く伝わってこない。
奇をてらってる中身の薄っぺらいオタクが、おばさんという若者に見下される存在を相手に、ただイキってるという軽い感じに見えちゃう。
だから逆にこれを観てる男性側(特に若者)なんかは、私とは逆におばさん側の心情が上手く掴み切れないのではないかと思った。
殺し合いをただ愉快に描きたかっただけなら分かるけど、そうじゃないなら圧倒的に登場人物の心理描写不足だと感じる。
おそらく原作ではこの辺もちゃんと掘り下げてあるんだろうな。

あと昭和歌謡はもっと前面に押し出した使い方をしてもいいと思ったし、ストーリーの流れもテンポ悪い。
中盤辺りから自分の中でどんどん失速してきて、もっと早よポンポン殺し合いせんかい!って思ってしまった。

ただ思ったよりバイオレンス度は割と高めで、そこだけは良かったです。
安藤政信が立ちション中にダスキンの柄の先に付けた包丁で首を刺されて、チャンチキおけさをBGMに血とおしっこ吹き出しまくってるの最高だった。
結果的に、このシーンのためだけに観たようなもんだったかも…。
茜