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モロッコのRのレビュー・感想・評価

モロッコ(1930年製作の映画)
4.3
ありがたきお薦めをいただきまして見てみました🙏 なんてシンプルな話でしょう! こんなシンプルな話ひっさしぶりに見た! ある意味どうでもいいというか🤣 けなしてるわけじゃないです! 主人公は映画史上最強女優のひとりマレーネディートリッヒ演じるアミージョリー。はじめてのモロッコに向かう船上で、富豪のラベシエールと出会い、一目で彼女に惹かれた彼は、何かお役に立てることがあれば連絡を、と名刺を渡す。ありがとう、と受け取った名刺を、しばらくして、ビリッビリッ、ピン!と海に捨てるアミー。それを見てるラベシエール。んー。いいオープニング! アミーはモロッコのナイトクラブで雇われて初出演の晩、トップハットにタキシードという男装で舞台に現れるやブーイングの嵐。これは時代的におもしろい。クロスドレッシングは男装すら受け入れられてなかったんやね。けど、カリスマ性あふれるオーラと気だるい見事な歌声でオーディエンスを魅了するアミーは拍手喝采を浴びる。歌ってる雰囲気や声の感じや流し目が、すごく美空ひばりっぽくて、ははーん、ひばりよ、さてはディートリッヒファンだな、とか思いながら見てました。アミーは客席に座る女性の髪に刺してある花飾りをひょいともらい、彼女の唇に接吻。みんな、ハハハ、と爆笑🤣 このあたりもその時代のセクシュアリティ観が垣間見えて興味深い。で、そこに来ていたスーパープレイボーイの一兵卒トムブラウンも彼女に心惹かれ、パフォーマンスのあとアミーの楽屋を訪う。ふたりとも明らかに惹かれ合ってるのに、お互いそんなでもない風に振る舞う、元祖ツンデレロマンスがここからはじまります。いつの世も、ロマンスはツンデレなんすね。トムブラウンを演じるのはゲイリークーパー。伝説的男優のひとりですが、見るのはじめてかも! 画像が粗すぎてあんまちゃんと見えんかったけど🤣 すごいイケメンなんでしょうかね、出てくるたびに違う女を連れてる。しかも人妻。やるやん。アミーにトムをとられた!と嫉妬する人妻は、ふたりの邪魔をすべく現地人にふたりを襲撃させる。が、現地人が返り討ちにあい、トムはその罪で逮捕され、軍法会議は免れるも、分隊に入って遠征に出されることに……っていう流れ。先日見た間諜X27と同じジョゼフフォンスタンバーグ監督の作品なのだが、こっちの方が映像のインパクトが薄いように感じたのは、セットがややせせこましい感じだからかな。それとも画質のせいかなー。もっとキレイな画質で見たら全然違うのかも。それでもマレーネディーットリッヒのカッコよさと愛くるしさはビシビシ伝わってくる。ディートリッヒの魅力に惚れ込んでる富豪の男ラベシエールは、トムブラウンとは正反対の男で……んーきっと現代人ならばいろいろ考えて富豪の男を選ぶだろうなー。打算のない結婚なんてめちゃくちゃ若いのでなければ現代ではありえないしな。最後にトムブラウンを○○○○○ために〇〇を掘り捨てるシーンは、男の幻想としての女の行動だなーという感じがして、ほろ苦さを感じながらも、そのロマンティシズムには胸をうたれるものがあった。男は見た目重視のロマンティスト、女は収入重視のリアリスト、という図式を男性の都合に沿うように感動的にひっくり返した映画だな、と思ってしまいました!!! ラストショットに心奪われながらも!!! アンビバレンスなエンディング!!! それとも昔はこんな風潮があったとでも言うのでしょうか。社会学的観点からそのあたりの事情をご存知の方がおられましたら、是非ともご教授願いたい。それにしてもほんと現代って情報化が進みすぎてだれも彼も何もかもロマンティシズムを失ってしまったね。そういえば話はそれまくりますが、先日こんなニュースを目にしました。

内閣府の調査で20代男性のおよそ7割が 「配偶者、恋人はいない」、およそ4割が「デートの経験がない」と答えていることが分かりました。14日に閣議決定した内閣府の男女共同参画白書によりますと、 20代女性のおよそ5割、 男性のおよそ7割が「配偶者や恋人がいない」 と答えています。また、 「これまでデートした人数」について聞くと、「ゼロ」と答えた人が20代の独身男性ではおよそ4割に上ることが分かりました。政府関係者は未婚や晩婚化、少子化に拍車をかけることにつながりかねないとして危機感をあらわにしています。

まぁ、これも高度情報化社会になったせいだろうなと思いました。どんな情報でもばんばん入ってくるのみならず、発信する側にもなってるからなー。そりゃー無理や。比較対象が多すぎる。せいぜいゲイリークーパー並みのイケメンで、かつラベシエールみたいな富豪でないと笑 ほんまに、むずかしい世界になってしまったものだ。まぁでも、このニュースも見方を変えれば、価値観が多様化してきて、恋愛する必要がなくなってきてるとも言えるので、それならぜんぜん歓迎すべきトレンドですよね。みんなで共有することを強いられた全体主義的恋愛観に、70s〜00sくらい世代の人たちはさんざん苦しめられたろうから。解放されたとも言えますもんね。おっと、話が逸れてしまいましたが、本作をもう一回見るとしたら、4K以上のリマスターで見たいと思います。どう見えるか気になります。それでは。
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