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はなればなれにのろのレビュー・感想・評価

はなればなれに(1964年製作の映画)
4.6
みんな、みんな
不信と悲しみを抱えて
はなればなれに


京都の市バスって、ほんとたくさん路線があるんですよ。
四条大宮行き、清水寺行き、岩倉行き・・・。
今日の目的地、京都みなみ会館は九条!
だけど、バス停がなかなか見つからない!
いろんなバス停を行ったり来たり。
泣きそうになりながらさまよって、結局30分ぐらいムダにしちゃった。

そんなこんなでやーっと辿り着いた、京都みなみ会館!
「女は女である」や「コントラクトキラー」のレトロポスターが貼ってある館内。ついにゴダールの「はなればなれに」鑑賞!!

あ~、もうめちゃくちゃおもしろかったです。
真夜中にボーっと眺めたい映像の数々。

ふたりの男とひとりの女が、強盗の計画を立てて実行する。
ただそれだけなのに、なんでこんなにおもしろいんだろう。


アンナカリーナ演じるオディールが叔母の家で大金を見つける。
戸棚の中に札束がどっさり積まれている。
お札にプリントされたカオがアップで映る。
オディールはお金を手にウシシと笑う。
目はギラギラと光る。
ああ、このカットだけで、ため息が出ちゃう。

オディールは2人の青年、フランツとアルチュールに出会う。
オディールはアルチュールと恋に落ちる。
フランツもオディールのことが好きだけど、彼は無視されてばかり。フランツが差し出したタバコはいらないって突き返されるし、カフェでは彼女の隣に座ることもできない。フランツの恋心は宙ぶらりんだ。

カフェで話すことがなくなった3人は、1分間沈黙ゲームをしたり、マディソンダンス。3人で息を合わせて踊る間、それぞれが考えている。アルチュールはオディールとのキスを、オディールは自分の胸のことを、そしてフランツは・・・。

強盗までの暇つぶし。
ルーブル美術館に行く。
こないだアメリカ人男性がルーブル美術館を9分45秒で回ったらしい。
3人はその記録を破るために走り回った。
警備員の制止を振り払って、絵や彫刻に見向きもせず、笑いながら無邪気に。

この3人は、どこへ向かうのだろう。
軽快な音楽が3人を後押しする。車が走る。


上映が終わって、バスに乗って、流れる風景を見た。
映画の場面を思い出していた。

DVDがレンタルされたら、あと5回は観たい。
ろ