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リリイ・シュシュのすべてのminorufukuのレビュー・感想・評価

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
4.0
突然荒れ出した友人からいじめを受け過酷な毎日を送る中学生の主人公は、リリイ・シュシュというアーティストのファンサイトで、青猫という人物と言葉を交わすようになるのだが…

岩井俊二監督作品。
Love Letterからスワロウテイルまでは、彼の作品全て観るほどのファンだった。
このリリィ シュシュは鬱映画として評判が高かったので避けていたのだが、公開15年経ってようやく鑑賞。噂通り救いようのない話だった(ほめ言葉)。

いじめの主犯は、主人公たちに万引きや援助交際を強要し、やがて大きな事件が起こる。
悲惨な現実と、ファンサイトでの中二病全開のコメントのやり取りとの対比が色んな意味で痛々しい。全編ドビュッシーのピアノ曲が流れていて映像も綺麗なのに内容は悲惨…

元々は、岩井俊二がインターネット掲示板形式で書いていた小説が原作で、その掲示板には誰でも書き込めできたという。中々ユニークな手法。

市原隼人がいじめられっ子で、 忍成修吾がいじめっ子という、今だと完全に逆のイメージ。だが、今作における 忍成修吾は恐怖で仲間を支配する悪辣な独裁者を見事に演じていた。というか恐すぎる! 蒼井優が映画初出演で、援助交際を強要される同級生役。ストーリー的に彼女の役柄が一番せつなくて辛い。監督、鬼だな。

中学生の危うい人間関係を見事に表現していた。親友だったはずの男にいじめられる主人公。優等生から豹変するいじめ主犯。そのいじめっ子に逆らえず好きな女の子も守れない主人公。観ていて辛かった。

終盤、リリィ シュシュのコンサートで、主人公はネット上で交流を深めていた青猫と会うのだが、まあ本当に酷いオチだった(ほめ言葉)

合唱コンクールのシーンの翼をくださいアカペラバージョンが変わったアレンジで面白かった。
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