翔海

恋はデジャ・ブの翔海のレビュー・感想・評価

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)
3.8
難解な恋のループに抜けられなくなった男。

気象予報士のフィル・コナーズは仕事仲間のリタ、ラリーとともに毎年2月2日の聖燭祭に行われるグラウンドホッグデーを取材するために田舎町パンクスタウニーにを訪れていた。グラウンドホッグデーとはウッドチャックが春の到来の時期を占う伝統的な祭事の一つだったが、フィルにとっては田舎行事の退屈さに嫌気がさしていた。嫌々ながら仕事を終えて都会に帰る途中で吹雪から足止めを食らってしまう。帰れなくなってしまって前日の宿に泊まることになる。ところが翌朝フィルが目を覚ますとその日はまたしても2月2日なのであった。フィルは昨日と同じことを話してくる人たちに既視感を覚えつつも仕事を終え、翌朝もまた同じ2月2日が繰り返される。時間のループに閉じ込められたフィルは天候のせいでパンクスタウニーから出られずにこの街で様々なことを巻き起こす。繰り返される時間のループを解く鍵を見つけ出せるのだろうか。

君を惚れさせるには。
高慢で自己中心的なフィルを変えたものはタイムループ。彼のねじ曲がった性格も繰り返される時間の中で反省もしたり、自己中心的な考えを改めさせる良いきっかけとなった。今までの性格だったら同僚のリタも相手にしなかっただろうけれど、改心したフィルはアプローチをする。けれど、リタの好みを知っても言って欲しい言葉を伝えても彼女は振り向いてくれない。リタのこと口説くのに疲れたフィルはパンクスタウニーの街で起こるハプニングや人の為になる行動をし始める。自分のことにしか興味のなかった男に人助けをすることによって得られる他者からの感謝を知る。

タイムループ作品の原点的作品。
近頃だとAmazon限定作品の明日への地図を探してなど恋愛とタイムループを掛け合わせた作品も話題となっていたけど、この作品が先駆けと言える。ビル・マーレイの誰にも媚びない男がタイムループに閉じ込められて事件を起こしても自殺を図っても抜け出せられない姿は哀愁漂う。何度も繰り返される時間の中で自分を見つめ直し、改心することが彼に与えられた試練だったのかもしれない。
翔海

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